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2020年11月30日(月)
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【海運大手3社の一角】コンテナ船を中心に運航。資源輸送も。

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船に「たこ」揚げて進め 川崎汽船が狙うESG投資
証券部 松川文平

2019/12/2 2:00
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「K LINE」のロゴの入った巨大な凧(たこ)が近い将来、川崎汽船の業績を引っ張り上げるかもしれない。欧州エアバスの関連会社が開発した風力アシスト機能を付けた船が2021年にも運航を開始。仮に同社グループのばら積み船すべてに取り付けると、年間200億円規模の燃料費削減につながる潜在力がある。

船首から約1千平方メートルほどの大きさの凧を揚げて、進行方向への風をとらえる「シーウイング」は、エアバスから分社したエアシーズ社と2年間検討して導入を決めたものだ。気象観測システムと連動しており、ワイヤの長さの自動調節によって凧の高さをコントロールし、最大100トンの推進力を得る。

川崎汽船がイメージ図を公表したのは6月のこと。奇抜なアイデアに海運業界は「川汽さん、どうしちゃったの?」という反応だったが、同社がシーウイングにかける期待は大きい。11月下旬、記者のインタビューに応じた明珍幸一社長は「21年には搭載船の運航を始める。そういうアビリティー(能力)があることを示したい」と述べた。

シーウイング第1号は大型のばら積み船に取り付けることが決まっている。燃料消費を2割減らせる可能性があるという。保有船舶全体に占める船の重量や年間の燃料費などから単純計算すると、グループで約200隻あるばら積み船すべてに搭載すればコスト削減効果は年間最大200億円弱。同社の2020年3月期の連結純利益予想110億円を上回る。

シーウイングの狙いはコスト削減だけではない。世界の機関投資家に広がる「ESG(環境、社会、企業統治)投資」の流れに乗り遅れれば、業績が上向いても株式市場で評価されないとの危機感がある。

国際海事機関(IMO)は30年までに燃費を4割改善するよう海運会社に要請している。海外では航海での二酸化炭素(CO2)排出量を開示する動きもある。業界では「一部の荷主が環境対応も考慮して船会社を選んでいる」(海運大手)といった声さえ聞かれるようになった。

海運会社にとって風力アシストは環境対応の有力な手段で、商船三井は船上に複合材料でできた「硬翼帆」を張って風をとらえる「ウインドチャレンジャー」を22年に運航開始する。川崎汽船のシーウイングはこれに1年先行できるうえ、既存の船に後付けできるシステム構造上のメリットもある。その分だけESG投資家に強くアピールできる可能性がある。

川崎汽船は自動車船の収益改善などで19年7~9月期は2四半期連続の最終黒字を確保した。コンテナ船やばら積み船の運賃と借り賃の「逆ざや」に苦しみ、みずほ銀行などから劣後ローンで450億円の支援を仰いだ前期と比べると、先行きに晴れ間が見えている。

4~9月期決算が出そろった10月末からの川崎汽船の株価上昇率は11%と、それぞれ4%下落している商船三井、日本郵船を上回る。野村証券の広兼賢治氏は「やや過熱気味」としつつも、不採算船の売却など構造改革については「やるべきことはやっている」と評価する。

ただし、「財務内容が根本的によくなったわけではない」(JPモルガン証券の姫野良太氏)。9月末の自己資本比率は12.7%にとどまる。構造改革による船主への解約金などで4~9月の営業キャッシュフローは396億円の赤字だった。

このところの海運市況の改善も、来年1月からの排出ガス環境規制の影響で一時的に船の需給が引き締まった影響が大きい。凧に引っ張られて前進する「ESG航路」は、なお波乱含みになりそうだ。

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