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住友鉱、フィリピン製錬所が鳴らす警鐘
証券部 久保田皓貴

2019/7/18 4:30
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住友金属鉱山がフィリピンで運営するニッケル製錬所を巡り、株式市場で懸念が強まっている。2019年3月期に操業トラブルがたびたび発生し、電気自動車(EV)向けに需要が伸びるニッケルの減産を余儀なくされたためだ。フィリピンの製錬所で採用するのは、同社が世界で初めて商業化した製錬技術。住友鉱はもともと高い技術力を背景とした業界随一の低コスト生産で定評があっただけに、トラブル多発はその評価を覆しかねない。株価は18年の高値の半値近くに沈んでいる。

フィリピンのタガニートHPALニッケルの製錬プラントでは19年3月期に操業トラブルが相次いだ

フィリピンのタガニートHPALニッケルの製錬プラントでは19年3月期に操業トラブルが相次いだ

「事業基盤が脆弱化の兆候を見せ、稼ぐ力が落ちているのではないか」。5月に開かれた経営説明会で、野崎明社長は危機感をあらわにした。

野崎社長が異例の発言に踏み切ったのは、主力事業の生産量が落ち込んでおり、社内を鼓舞する必要があったからだ。19年3月期は出資する銅鉱山とフィリピンのニッケル製錬所の生産量が前の期より減った。生産水準は185億円の最終赤字となった17年3月期より低く、資源事業の資産回転率(売上高/事業資産)は0.16倍と過去10年間で最低となった。

住友鉱の19年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前の期比26%減の667億円と、17年3月期を大きく上回る。だが、非鉄市況次第で利益額が大きく変動する住友鉱にとって、「鉱山や製錬所などの資産がしっかり稼働しているかは重要な経営指標となる」(モルガン・スタンレーMUFG証券の白川祐氏)。業績に表れている以上に問題は深刻だとして、市場の警戒感が強まった。

とりわけ懸念されているのが、フィリピンのニッケル製錬子会社「タガニートHPALニッケル」で発生した操業トラブルだ。EVの電池材料向けの需要増などに応えるため年間生産能力を従来の3万トンから3万6000トンに増強したことで「想定外のトラブルが発生した」(住友鉱)という。19年2月にいったんは「解消済み」と説明したものの、翌四半期にも同様のトラブルが起きた。生産能力を引き上げたのとは裏腹に、19年3月期のニッケル硫化物の生産量は2万7400万トンと前の期から5%減産となった。

ニッケル事業のトラブルがもたらしたインパクトは小さくない。タガニートが手掛ける「HPAL(高圧硫酸浸出)」と呼ばれる技術は、住友鉱の技術力や収益力の象徴だったからだ。

「HPAL」は住友鉱が世界でいち早く商業生産に成功した技術で、不純物を多く含む安価な低品位鉱石でも製錬できる。緻密な設備管理が必要なことから投資がかさむとされていたが、住友鉱は高い技術力で採算性を確保した。

住友鉱は生産管理などコスト競争力に定評がある。低いほど好採算であることを示す売上高販管費率は19年3月期に5%台と、同業の三井金属(11%台)や三菱マテリアル(9%台)、DOWAホールディングス(8%台)を圧倒する。しかし、今後もニッケル製錬所の操業トラブルが続けば、これまで培った評価が揺らぎかねない。「タガニートの操業状況を四半期ごとに確認する必要がある」と野村証券の松本裕司氏は指摘する。

住友鉱は20年3月期に生産量を挽回するため、背水の陣を敷いている。4月に新たに電池材料事業本部を立ち上げ、追加投資や予備設備の充実など対策を急ぐ。年2回の定期休転の日数を圧縮することで、トラブルの再発という最悪の事態でも生産量を確保できるように手を打った。「4~6月期はフル生産を達成できた」(同社)といい、成果も出つつあるようだ。

8月の決算説明会では、フィリピン製錬所の年間を通じたフル生産への道筋が見えるかどうかが焦点となる。EV時代の到来を見据えれば、「ニッケルの需要増加という成長ストーリーに陰りはない」(SMBC日興証券の山口敦氏)との声も聞かれる。技術力への信頼を取り戻すことが住友鉱の株価反転の第一歩となる。

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