【通信事業最大手】持ち株会社。傘下に東西地域会社やドコモなど。
発表日:2022年06月27日
世界初、空間多重信号光の強度差を自在に補償
〜IOWN構想がめざす1ペタ超の大容量光伝送に向け前進〜
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と、国立大学法人北海道大学(北海道札幌市北区、総長:寳金 清博、以下「北大」)は、異なる種類(モード)の信号光間で発生する光の強度差を、低損失・広帯域に可変補償する小型光デバイスを世界で初めて実証しました。
1本の光ファイバで複数のモードを伝搬するモード多重伝送は、将来の大容量光伝送の候補技術として期待されています。しかし、光ファイバ中の減衰量や光増幅器の増幅効率が、モード間でわずかに異なるため、長距離伝送後にはモード間の光強度差が増大してしまいます。このモード間の光強度差は、受信装置内の電気信号処理を複雑化し、伝送可能距離を著しく制限します。今回、小型の平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit(※1))内で、特定モードの光強度を選択的に減衰させ、モード間の光強度差を±0.5dB以下に補償することに成功しました。これにより、提案デバイス1台で伝送可能距離を200km程度拡張できると期待されます。
本成果は、NTTが提唱するIOWN(※2)構想がめざす、1ペタ超の大容量光伝送基盤の実現に向けた要素技術の一つとして期待されます。
今回の成果は、スイス バーゼルで開催される光通信技術に関する国際会議(ECOC2022)に採択され、現地時間の2022年9月18日から22日の会期中に発表予定です。
*図[1]は添付の関連資料を参照
1.研究背景
モード多重伝送は、多重するモード数に比例して伝送容量を拡張できるため、次世代の大容量光伝送基盤の実現技術の一つとして注目されています。しかし、図2に示すように、モード多重光伝送路では、モード間で光の減衰量がわずかに異なるため、減衰量の偏差が伝送距離とともに累積してしまいます(図2の(1))。また、光増幅器中ではモード間の増幅効率が異なるため、増幅出力にもモード間の偏差が生じてしまいます(図2の(2))。一方、モード多重伝送路の出力端では、複数のモードが混ざり合って出力されるため、入力信号の情報を復調するための電気信号処理が必要となりますが、信号処理の計算量はモード数と特性偏差に応じて指数関数的に増大してしまいます。また、光伝送路の特性偏差は、伝送距離や増幅効率の要求条件に依存して変化するため、モード多重伝送の実現には、光伝送路におけるモード間特性偏差を可変制御する技術が不可欠です。しかし、これまでに小型・低損失・可変性の要素を兼ね備えた技術は提案されていませんでした。
*図[2]は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
図[1]
https://release.nikkei.co.jp/attach/635297/01_202206271646.png
図[2]
https://release.nikkei.co.jp/attach/635297/02_202206271646.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/635297/03_202206271646.pdf