【航空大手】10年1月に破綻後、市場にスピード復帰。路線別採算管理を徹底。
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)で「空飛ぶクルマ」の商用飛行を目指す丸紅などは14日、大阪城公園(大阪市)内の野球場でパイロットが操縦する実証飛行を実施した。機体は地上約8メートルの高さまで上昇し、上空で旋回や方向転換などを試した。屋外で操縦者による空飛ぶクルマの飛行をするのは国内初という。
丸紅は万博では英バーティカル・エアロスペース社の機体(5人乗り)を使用する予定だが、今回は米リフト・エアクラフト社製(1人乗り)を使った。屋外での空飛ぶクルマの有人飛行実験は自動操縦で国内の実施例がある。国土交通省は商用飛行に必要な関連制度を23年度末までに整備する方針で、当面は操縦者が搭乗する有人飛行を前提とする。
今回の実験では実機の飛行で騒音や離着陸する際の風の影響などを検証した。丸紅の岡崎徹航空・船舶本部長は「機体の安全性や静粛性を多くの人々に発信する」と語った。実験には建設コンサルタントの長大なども参加した。操縦者として搭乗したGMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長は「ヘリコプターや飛行機よりもはるかに簡単に操縦できた」と話した。
丸紅は将来、全国で空飛ぶクルマを活用した2地点間飛行や遊覧飛行の事業化をニーズなども見極めて検討する。空飛ぶクルマは電動やハイブリッド駆動で、垂直に離着陸できることなどが特徴。開発では欧米のメーカーが先行し、日本でもスカイドライブ(愛知県豊田市)などが飛行に成功している。
万博に向けて2月に運営主体「日本国際博覧会協会」が丸紅やANAホールディングス、日本航空など5社を運航事業者に選定した。万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)と関西国際空港や大阪市中心部の大阪城に近い森之宮などを結ぶ計画だ。
地元の大阪府も大阪万博に向けて今回の実験に補助金を交付。府や大阪市、大阪商工会議所が実施予定地の選定などを支援した。吉村洋文知事は同日、記者団に対して「デモフライトは大阪での空飛ぶクルマを実現する上で大きな一歩だ」と語った。