【上位総合商社】住友グループの中核企業。金属取引、自動車などに実績。
三菱商事は温暖化ガス排出量の開示を拡充した
三菱商事は1日開いたESG(環境・社会・企業統治)説明会で、トレーディング事業を含めて販売した製品の使用に伴う二酸化炭素(CO2)排出量などを新たに開示すると発表した。商社は幅広い製品やサービスを扱うため排出量が多くなりやすく、明確なルールや定義もなく算出が難しかった。会社全体として開示するのは総合商社で初めて。
開示するのは、取引先など自社以外が排出する「スコープ3」のうち、販売した製品を顧客が使用する際に出る「カテゴリー11」。2021年度は3億8125万トンで、天然ガス事業や原料炭などの金属資源事業、製鉄プラントや鉄道といったインフラ輸出などの産業インフラ事業の排出が多かった。
中西勝也社長は「三菱商事にとってとくに排出量が多い重要な指標で、透明性を高くする」とし、削減に向けて幅広いパートナーと協力する方針を示した。
同様の指標では、住友商事が化石燃料エネルギー権益事業で生産したエネルギー資源について、販売先が使用した際の間接的排出量を一部開示している。
同排出量は使用者側の事情も関係してくるため、削減にはサプライチェーン(供給網)の幅広いパートナーとの協業が必要となる。小林健司チーフ・ステークホルダー・エンゲージメント・オフィサー(CSEO)は「削減は単独で実現できるものではない。事業パートナーなどと密に連携する」と述べた。
三菱商事は21年10月、脱炭素社会に向けたロードマップを示した。自社オフィスなどからの直接排出量を示す「スコープ1」と、電気使用などに伴う間接排出量を示す「スコープ2」、スコープ3の株式投資やプロジェクトファイナンスの運用など投資で排出するカテゴリー15の排出量を開示。これらを30年度に20年度比で半減、50年にゼロにする目標を掲げている。
CO2排出量削減に役立つ製品やサービスの削減貢献量も新たに開示した。銅やアルミの供給による排出削減量などで、社会全体での削減貢献度合いや、脱炭素社会でビジネス機会をどれくらい取り込めているかを示す定量的な指標として位置づける。