【感染症薬主力】抗HIV薬など感染症薬開発を強化。
第一三共は26日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、追加接種の推奨用量を確認する臨床試験(治験)でファイザー製など既存ワクチンと同程度以上の有効性が確認できたと発表した。副反応も重篤なケースはなかった。同日から4500人規模でウイルスの感染を防ぐ中和抗体の量を既存ワクチンと比べる治験の初回投与を始めた。2022年度内の実用化を目指す。
追加接種の治験は1月から日本国内で実施していた。ファイザー製やモデルナ製のワクチンを2回接種した65歳以上の高齢者など計約500人を対象に接種用量を確認した。3回目の接種として第一三共製を10~60マイクログラム投与したところ、4週間後の中和抗体量は既存ワクチンと同程度以上だった。接種後1週間で重篤な副反応はみられなかった。26日から約4500人を対象に安全性や有効性を既存ワクチンと比較する治験に入った。
同社は21年11月から、未接種者向けの治験も進めている。成人80人を対象に投与した結果、安全性や2回接種後の免疫効果が確認できたという。22年9月までに最終段階の治験を始める予定だ。当初は3月末までに実施する計画だったが、変異型「オミクロン型」の拡大で接種率が上がったことなどから追加接種の治験を優先していた。
第一三共が開発するのは、ファイザー製やモデルナ製と同じく「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ばれる遺伝技術を使ったワクチンだ。コロナウイルスが人の細胞と結合する部分を狙う独自の技術を使うことで、有効性を高められるという。
国内企業では、武田薬品工業が米ノババックスから技術提供を受けて国内生産するワクチンの供給を始めた。塩野義製薬やKMバイオロジクス(熊本市)も治験を進めている。