【電力卸】石炭火力と水力が主体。電力各社に供給。
仏アムンディなど欧州の機関投資家らが出した株主提案を否決した(28日、東京・港)
Jパワーは28日に東京都内で開いた株主総会で、仏運用大手アムンディなど欧州の機関投資家3社とオーストラリアの非政府組織(NGO)による脱炭素への対応強化を求める株主提案を否決した。
米議決権行使助言会社2社は提案への賛成を推奨したものの、全3項目の賛成比率は18~26%にとどまり、定款変更に必要となる議決権の3分の2以上の賛成は得られなかった。詳細は29日にも臨時報告書で開示する。
総会に出席したアムンディの担当者は「Jパワーの脱炭素戦略は詳細が欠如し、高コストの石炭系技術に依存している。同社は財務リスクに直面している」と説明した。Jパワーの菅野等取締役は「(石炭の次世代技術は)実証済みの技術を商用化するもの。既存の発電所に導入するため経済性もある」と説明した。
仏運用大手アムンディなどはJパワーの脱炭素目標は不十分と主張し、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に沿った計画の策定などを求めていた。Jパワーは「企業価値向上にはエネルギー安定供給と気候変動対応の両立が必要」と反対していた。機関投資家が共同で企業に気候変動対応を求める株主提案を出すのは国内で初めて。
Jパワーは発電能力の4割を石炭火力発電が占める。2050年度に国内発電事業の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとする目標で、30年度に17~19年度の平均値から40%減らす。渡部肇史社長は株主総会で「すでに気候変動対応に関わる具体的な計画を策定し取り組んでいる。今後も情報開示の充実に努める」と話した。