【国内1位】医療用医薬品に集中。がん領域の新薬開発に注力。
武田薬品工業は23日、新型コロナウイルス向けワクチンを製造する光工場(山口県光市)の一部施設を報道陣に公開した。米ノババックスから技術移管を受け、2021年12月から光工場で商用生産を開始している。インフルエンザ向けなどにも使っていた巨大タンクを用い、大量生産と安定的な供給が可能になったという。
同日開いた会見で、武田薬品の岩崎真人・代表取締役日本管掌は「官民連携により新型コロナ向けワクチンを届けられる」と述べた。武田薬品が製造するのは「組み換えたんぱく」と呼ばれるタイプのワクチンで、B型肝炎向けなどにも実用化されている。同ワクチンについて、武田薬品と厚生労働省は21年9月に1億5000万回分の供給契約を結んでいた。
光工場ではインフルエンザワクチンなどを製造していたことから、6000リットルの巨大タンクを6機保有し、新型コロナ向けワクチンの大量生産を可能にした。同ワクチンは冷凍ではなく冷蔵保存が可能なことから、従来の医薬品サプライチェーンを使えるといったメリットがある。
米ファイザー製やモデルナ製は「メッセンジャーRNA(mRNA)」という遺伝物質を活用したワクチンを開発したが、いずれも海外からの調達で、日本が確保に苦戦した背景がある。会見に出席した後藤茂之厚生労働相は「国内での創薬システムをしっかりと作り、エコシステムを構築していきたい」と述べた。