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2024年春に卒業する予定の大学生・大学院生を対象とした採用広報が1日解禁された。新型コロナウイルス禍後の新卒採用としては4回目。AGCが最終面接を原則対面方式にするなど、見合わせていた対面の選考を拡充する企業も増えそうだ。コロナ下で広がったオンラインの活用で利便性が増した一方で、企業や学生からはミスマッチが起きることを懸念する声もあがった。
就職情報大手のマイナビは1日、東京ビッグサイト(東京・江東)で合同企業説明会を開いた。約210社が参加し、人気の高い企業のブースは満席になり、立ち見する学生もいた。現役社員や内定者との個別相談会を設ける企業もあった。
「対面形式のほうが実際に働いている人の声を聞きやすく、温度感が伝わってくる気がする」。中央大学法学部3年の男子学生はこう話す。「対面形式だと他の就活生の様子が確認でき、企業の雰囲気もわかる」(立教大学観光学部3年の女子学生)といった声もあがる。
企業の採用活動は新型コロナ禍で大きな影響をうけたが、今ではオンラインの活用が浸透してスムーズに進む。地方に住む学生の移動の負担が減ったほか、より多くの企業の情報を集めやすくなった。ただ企業からすると学生の本気度がはかりづらく、学生側からは職場の雰囲気がわかりづらいという課題もあった。
こうした背景から面接で対面中心に戻す動きが広がる。AGCや建材設備大手のYKKAPも24年卒から最終面接について原則対面とする。適性や志望度を見極め、ミスマッチを防ぐ狙いだ。野村不動産も面接について対面実施の割合を増やす考えだ。
IHIは24年卒の事務系職種について、採用説明会は対面とオンラインを併用。最終面接のみ対面とする。23年卒の採用ではほぼ全てオンラインで実施していた。「オンラインだけでは社風など伝わりづらい部分があった」(同社)という。一部の学生や大学から対面での実施を望む声もあった。
イオンは17年まで開いていた留学生向けの説明会を対面で再開する。東南アジアを中心に店舗開発を進めており、海外事業を担う人材を集める考えだ。反応をみながら説明するため対面形式を選んだという。
就職情報大手のマイナビの調べによると、24年卒を対象にした個別の企業セミナーで「全て対面」、「どちらかというと対面」と回答した企業は34.7%で、23年卒から4.1ポイント上昇した。最終面接は3.3ポイント高い92.4%だった。説明会はオンラインを活用し、最終面接は対面と使い分ける手法が定着しつつあるようだ。
23年入社を対象に待遇を見直す動きが広がる。任天堂は大卒の初任給を1割増の25万6000円に、ホンダも大卒の初任給を1割増の25万1000円とする。全日本空輸(ANA)は大卒の総合職の初任給を2万円(約9%)引き上げる。上昇額は異なるが客室乗務員も大卒で約8%上げ、グループ各社でも引き上げを検討する。
こうした中で学生からは「新卒の初任給より30代までにどれくらい昇給するのかのほうが興味がある。年間休日数など労働環境を重視している」(明星大学人文学部3年生の男子学生)といった声が聞かれた。「(給料よりも)福利厚生が劣っている場合もあるため注視している」(日本大学商学部3年の男子学生)との声もある 。
採用人数の見通しも明らかになってきた。JR東日本は2024年度に総合職とエリア職を合わせて500人の採用を予定する。23年度計画を据え置く一方、IT(情報技術)や不動産など一部の成長事業では追加でジョブ型採用を実施する。不動産やデータマーケティング、交通系ICカード「Suica(スイカ)」を使ったサービスなどの成長分野に配置する方針で、経験者のほか新卒者もジョブ型の対象となる。
首都圏の私鉄大手では4月に新入社員30人程度が入社する見込みで、24年4月は50人前後に増やす。コロナ禍で低迷した旅客需要が回復に向かっているが、テレワークの定着などで運行本数を減らしており、100人程度を採用していたコロナ前の水準には依然として届かない。