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竜巻再現や点検ドローン 課題解決にインフラテック
SDGsが変えるミライ

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2021/9/25 5:00
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大林組技術研究所の竜巻などの発生装置。事前に煙を充満させてから筒の下で竜巻を起こす

大林組技術研究所の竜巻などの発生装置。事前に煙を充満させてから筒の下で竜巻を起こす

地球温暖化による異常気象、深刻化する人手不足や老朽化――。生活に欠かせないインフラへの脅威が広がるなか、新たなテクノロジーでこうした困難に立ち向かう取り組みが始まっている。SDGs(持続可能な開発目標)は「住み続けられるまちづくりを」を目標の1つに掲げる。日本企業の持つ技術が生かせるか。

SDGsが変えるミライ
本記事の関連映像も紹介する、BSテレビ東京『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査~』は9月25日(土)午後9時から放送します

「SDGsが変えるミライ」番組の詳細

竜巻を再現、建築に反映

東京都清瀬市にある大林組技術研究所。頭上にある大人1が人すっぽり入れそうな直径1.5メートルの筒の中には、巨大なファンが設置されている。その下、長さ10メートルほどの細長い台の端には縦横9列ずつ、計81個の小型ファンも備えられ、自在に「ミニ」竜巻を発生させて操ることができる。頻発する異常気象と、それが建物に及ぼす影響を解明するための施設だ。

竜巻は一見、台風と似ているが「中心部の圧力など、基本的な仕組みもまだ詳しく分かっていない」(同所の染川大輔主任研究員)。総合建設会社(ゼネコン)の大林組が竜巻を研究するのは、異常気象にも負けない建物や街をつくり、維持していくためだ。以前からの研究に加え、2012年に茨城県つくば市などで発生した複数の竜巻による被害が契機になった。犠牲者も出た被害の大きさが与えた衝撃は大きかった。

それまでは大学などの設備で研究していたが、自社の設備で自由に実験ができるようになった。台の上には建物の模型を置き、竜巻があたる力がプロジェクションマッピングを使って赤色などで可視化できる。竜巻が建物の真上を通過する実験を見学すると、側面や縁などを赤い光が移動する様子がわかった。こうした実験を通じて得られたデータは建築物の設計や維持に生かされる。

異常気象の脅威は日本だけの問題ではない。強いインフラを作れば、災害に強く、住み続けられる街になる。同所の片岡浩人部長は「研究機能も備え、設計や施工まで一気通貫できるゼネコンのスタイルは日本独特だ。国内外で顧客のニーズに応じてよりよい提案をしていきたい」と話す。

老朽化インフラ、点検が生命線

日本では生活の基盤であるインフラの老朽化が止まらない。14年の国の調査では、国や都道府県などが使う病院や学校などの公共建築物の総面積のうち、45%以上が築30年を超えていた。また国土交通省によると2033年に建築後50年以上たつインフラは、道路橋で約63%、トンネルでも約42%に達する見通しだ。

12年に中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故など、すでに老朽化が原因とされる被害も起こり始めている。高度経済成長期と前後して整備されたインフラは多いが、建て替えや大規模改修を一気に進めるのは難しい。丁寧な点検などによる長寿命化も必要な手段になってきているが、一方では人口減少による人手不足という課題ものしかかる。

こうした老朽化したインフラの維持で、新しい技術を活用しようとしているのがドローン開発を手掛けるスタートアップ、リベラウェア(千葉市)だ。点検に足場が必要だったり、狭かったりして人の目が届きにくかった場所の点検をカバーする。

ドローンは下水管につながる穴(左部)の中を通って点検していく

ドローンは下水管につながる穴(左部)の中を通って点検していく

9月中旬、千葉市のある公園の脇で、細い下水管の奥深くへ1台の小さなドローンが舞い降りていった。操作するのはリベラウェアの社員。下水道を管理する千葉市職員の立ち会いのもと、点検したい箇所をドローンのカメラの映像でみられるかを確かめながら、実証実験が行われた。

小型ドローン、狭い場所にも

使われたリベラウェアのドローンは、狭いところも飛べるのが特徴だ。飛行を制御するアルゴリズムを独自開発したほか、日本電産と共同でモーターの軸などに砂ぼこりが入らないように工夫した。

リベラウェアが開発したドローンは狭い場所でも飛べる

リベラウェアが開発したドローンは狭い場所でも飛べる

従来のドローンの多くは壁などの障害物が近くにあると、プロペラの風が跳ね返ってくる影響で落下するリスクを抱えるという。同社のアルゴリズムでは、壁に近づくと風量を調整して飛び続けられる。また地磁気の影響を受けない設計にして、狭い場所や鉄の多い環境でも使えるようにした。

インフラ点検を代行する事業を既に始め、電力関係や鉄鋼業、石油化学コンビナートをもつ企業などが顧客となっている。21年7月期の売上高は前の期比1.7倍と急成長中だ。こうした顧客がもつプラントなどの施設は老朽化が進む一方、人が簡単には立ち入れない危険な場所が多い。

創業者の閔弘圭(ミン・ホンキュ)最高経営責任者(CEO)には東日本大震災での強烈な原体験がある。当時は千葉工業大学の博士課程の学生。地震発生時にいた高層の建物は「その場にいた皆が死ぬと感じたぐらい揺れた」。その後、千葉大学の指導教官のもとで福島第1原子力発電所の点検を目指す無人ロボットのプロジェクトなどに参加。理論研究から、民間企業としてドローン技術で社会に貢献する方向に思いが移っていき、16年に起業した。

新たな技術も着々と磨いている。JR東日本、ソフトバンクとは撮影データを現場から5G通信で大量に送り、検査対象を3Dデータ化する取り組みも進める。ドローンを使った点検は新型コロナウイルスの感染拡大という、世界が直面する試練にも貢献しそうだ。点検のための足場づくりで現場が「密」になりやすく、代替策になりそうだとの顧客の声が出ている。

視線の先には海外もある。閔CEOは「途上国など海外では建築物の図面すら正確ではないケースがある」と指摘し、ドローンは現状や経年劣化の把握に役立つとみる。「狭くて、危ない現場のデータを世界一獲得する」(閔CEO)ことで、SDGsの達成に貢献する考えだ。(猪俣里美)

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