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ハンガリーは「欧州のタイ」か セーレンなど車産業集積

日経ビジネス
コラム
2021/5/25 2:00
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記者会見したセーレンの川田会長(右)と駐日ハンガリー特命全権大使のパラノビチ・ノルバート氏

記者会見したセーレンの川田会長(右)と駐日ハンガリー特命全権大使のパラノビチ・ノルバート氏

日経ビジネス電子版

ハンガリーが自動車産業の集積地として存在感を高めている。このほど繊維大手のセーレンが自動車用シート材の現地生産を発表したほか、近年は電気自動車(EV)用の電池や材料メーカーが続々と拠点を構えている。自動車業界の呼び水となっているのは、ハンガリー政府の大胆な誘致策と電光石火のスピード「営業」だ。

4月半ば、都内のハンガリー大使館。セーレンの川田達男会長兼最高経営責任者(CEO)と駐日ハンガリー特命全権大使のパラノビチ・ノルバート氏は、握手の代わりに肘を突き合わせて同社の現地法人設立をアピールした。

セーレンは自動車のシートなどに使う合成皮革の工場をハンガリー南部のペーチに建設する。投資額は約55億円で2022年に生産を始める計画だ。

同社は合成皮革など自動車シート表皮材の世界最大手で、繊維系の車両資材が売上高の6割を占める。合成皮革の新素材「クオーレ」は多くの国内自動車大手が採用する看板商品だ。

自動車業界では最近、EVや燃料電池車の話題で持ちきりだが、最大の課題は航続距離をいかに延ばすか。当然、部品一点から見直しが入り内装材にも軽量化の徹底が求められている。

法人税率9%の低水準

セーレンが欧州で真っ向勝負する相手は本革や塩化ビニール素材だ。欧州では完成車メーカーがシート材サプライヤーと強固な関係を築く。特にラグジュアリー感を演出する本革へのこだわりは強いが、セーレンはそこにくさびを打ち込む。クオーレは本革に比べ約半分の重さ。さらに耐用年数は本革の4倍の10年以上ある。材料には表面温度を抑制し、室内の温度を保つ機能もあるため「環境配慮の内装材として欧州自動車メーカーにも売り込んでいく」(川田浩司取締役常務執行役員)という。

セーレンの合成皮革は本革と比べ環境性能が高い

セーレンの合成皮革は本革と比べ環境性能が高い

セーレンは海外の生産拠点を米国やタイなど8カ国に構えるが、欧州には初めて進出する。ポーランドやチェコなども候補に挙がったが、最終的にハンガリーを選んだ。

決め手となったのは「投資誘致機関をはじめとしたハンガリー政府や関係者による手厚い支援」(川田CEO)だ。ハンガリーの法人税率は9%。欧州連合(EU)加盟国の中でも最低水準といい、企業誘致を大胆に進めることで雇用や国内総生産(GDP)を刺激する考えを打ち出している。

20年には新たな投資を実行する大手企業を対象に、支援額を400億フォリント(約136億円)から800億フォリントに引き上げると発表。ほかにも各種補助金を増やしており、なりふり構わず外資企業を呼び込もうとしている。特に躍起になっているのは自動車産業だ。

川田CEOはそのスピード感にも驚きを隠さない。セーレンがEUの拠点新設の検討を始めたのは20年11月。ハンガリーにも候補として持ちかけるやいなや、投資関係者からしつこいほどの熱烈なアプローチを受けた。最終的に川田CEOら経営陣はわずか4カ月足らずで機関決定した。

こうした野心的な誘致策もあって、ハンガリーに拠点を置く完成車メーカーは17年の4社から19年には8社に増加。すでにスズキの現地法人マジャールスズキや独ダイムラーが進出しているが、18年には独BMWも工場建設を発表した。

日韓の電池メーカーが続々進出

サプライチェーンも連なる。目を引くのはEV向けの電池産業の集積だ。

リチウムイオン電池世界大手の韓国SKイノベーションは20年に現地生産を始め、能力を順次拡張。21年春には第3工場の建設投資を決めた。同じくリチウムイオン電池大手の韓国サムスンSDIも21年に入り大規模な能力増強を決めている。

日系ではGSユアサが19年、電池の生産を始めた。電池材料では発火を抑える絶縁材のセパレーターフィルムを手掛ける東レも21年中に工場を稼働させる。デンソーも19年に工場を拡張した。

環境先進地の欧州はEVの旗を振り、欧州の自動車大手は競争力に磨きをかけている。それに触発された外資系メーカーやサプライヤーも欧州での投資拡大に動く。ハンガリーはその流れに乗って投資が投資を呼ぶ芋づる式で産業振興を図ろうとする。

東南アジアでタイが自動車関連メーカーの受け皿になったようにハンガリーもその地位を確立できるか。「欧州のタイ」の別名を冠する日は近いかもしれない。

(日経ビジネス 上阪欣史)

[日経ビジネス電子版 2021年5月20日の記事を再構成]

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