【航空大手】10年1月に破綻後、市場にスピード復帰。路線別採算管理を徹底。
航空関連の労働組合でつくる航空連合は20日、2022年の春季労使交渉で一律の賃金改善を求めない方針を発表した。統一の賃金改善要求見送りは2年連続。新型コロナウイルスの影響で、加盟組合の企業の業績悪化が続いている現状をふまえた。
「産業と企業の存続について労使で徹底的に対話を深める」と話す内藤会長
22年の要求方針は雇用の維持や確保を最重要課題とし、月例賃金などの年収低下の早期回復を目標に掲げた。同日の記者会見で内藤晃会長は「ベースアップを軸とした月例賃金改善について全面否定せず、しっかり取り組む」と話した。
航空業界はコロナ禍の長期化で需要低下が続き、人材流出も続く。内藤会長は「賃金に起因した離職が増えてきている」と指摘。需要が回復した際に対応できる体制を整えるため、雇用の確保や生産性の向上、働き方の改善を求めていくとした。
同連合として初めて、25年度までの複数年の闘争方針を盛り込んだ「中期労働政策方針」も初めて策定した。25年度までに一時金の水準を年間5カ月と、コロナ前の一時金水準に回復させるとともに、経営環境などを踏まえて毎年度、見直しを進める。
航空連合は1999年に発足。21年10月時点で全日本空輸(ANA)グループや日本航空(JAL)グループなどの56組合4万7317人の組合員を抱える。職種ごとに中期的な賃金水準目標を設けており、航空会社の加盟労組は30歳で月額32万5千円、空港サービスは同28万5千円を目指している。