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サラリーマン起業への挑戦
SmartTimes インターウォーズ社長 吉井信隆氏

日経産業新聞
コラム
2022/10/5 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Smart Times

6月2日、クオンタムリープ会長の出井伸之さんが亡くなった。亡くなる直前まで次世代ビジネスのインキュベーションに奔走し、生涯現役を貫いた経営者だ。出井さんはソニーの社長時代に業績の低迷で批判されたこともあったが、ゲーム・映画・音楽などのエンターテインメント領域へ事業を広げ、高収益を上げる礎を築いたと高い再評価を得た。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

1979年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。首都圏営業部長など経て95年にインキュベーション事業のインターウォーズを設立、社長に就く。日本ニュービジネス協議会連合会副会長。

出井さんとお会いしたとき、よく話していたのは社内起業のことだ。「あなたと同じように僕もサラリーマンこそ社内起業に挑戦すべきだとずっと言っている。会社の中での挑戦なら社内でバックアップしてくれるし、大きな損失を出し失敗しても会社が盾となって守ってくれる」

「自己破産して路頭に迷うことはないので思い切った挑戦ができる。スタートアップにない様々な恩恵を受けローリスクで起業できるのだから日本の企業はもっとサラリーマンに社内起業をやらせるべきだ」と。出井さんは31歳の若さでソニーの仏販売会社を起業した経験から、こういった考えに至ったのだと思う。

「2021年度の米国の投資額が40兆円を超え、日本のスタートアップ投資額は米国の100分の1の規模になった」との報道があった。新型コロナの感染が広がった2020年以降、格差が拡大している。

シリコンバレーで多くのスタートアップが誕生し続けているのは、循環する豊富な資金だけではなく、起業家と共に仕事をする有能な人材の流動性や産学連携の集合知性、弁護士、会計士、ヘッドハンター、メディアなどのエコシステムがあるからだ。一方、日本はスタートアップへの投資額は増えているものの、起業率は4.2%と先進国の中では最も低い。

昨年、ソニーが初めて1兆円を超える連結利益を達成し、社名を「ソニーグループ」として新たなスタートを切った。吉田社長は新体制のスタートにあたり、グループ最大の稼ぎ頭となったエンターテインメント領域を核に、「モビリティー」と「メタバース」の領域で新たな事業を創造していくと打ち出した。

ソニーは常に未来を先取りし、社内起業によって世界を変える事業を創り、「創造的失敗を恐れない、挑戦によるイノベーション」で歴史を築いてきた企業だ。スタートアップが成長するためのエコシステムが整っていない日本で、トヨタ自動車ファナックのように、社内起業によって新産業が勃興し、経済が高度成長を遂げ「ジャパン アズ ナンバーワン」と言われた時代がある。

「日本の起業社会の実現」のためにはコロナ禍でも9年連続で増えた480兆円を超える内部留保を社内起業家とスタートアップへ投資するとともに、M&Aを含めたオープンイノベーションで日本のエコシステムの土壌を創ることだ。

[日経産業新聞2022年10月3日付]

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