【総合通信会社】「au」ブランドの携帯事業が主力。
XRマネキンの利用イメージ(撮影:日経クロステック)
KDDIとグーグル・クラウド・ジャパン(東京・港)は18日、3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)や、人間の動きをそのまま3Dスキャン撮影してデジタル化する「ボリュメトリックビデオ」で衣服を紹介するアパレル業界向けソリューションを開発したと発表した。消費者は店舗の電子看板(デジタルサイネージ)、手元のスマートフォンなどで仮想空間上のモデルや3Dスキャンした人間の高精細な映像を見て商品を購入できる。2022年中の実店舗導入を目指す。
ソリューション名は「XRマネキン」。クラウド上でレンダリング(描画)する「クラウドレンダリング」を適用したことが特徴だ。具体的にはグーグルのクラウドサービス「Immersive Stream for XR」を利用し、クラウド側のGPU(画像処理半導体)でXR(仮想現実、拡張現実などの総称)マネキンの描画処理を実行。高速通信規格「5G」によって端末のブラウザーなどに高精細な映像を配信する。端末側の負荷が軽いため、処理能力の低いデバイスでも利用できるという。
グーグル・クラウド・ジャパンの佐藤聖規カスタマーエンジニアリング技術本部長はXRソリューションの課題として「ユーザー(消費者)はXRコンテンツを見るのに専用アプリを導入したり、高性能な端末を用意したりする必要があった。開発者も端末メーカーなどに応じてテストが求められた」と語り、これらの課題をImmersive Stream for XRで解決できるため、より手軽にXRコンテンツを利用できるとした。
KDDIの上月勝博パーソナル事業本部サービス統括本部5G・XRサービス企画開発部長によると、「すでにXRマネキンは商品企画から販売までのサプライチェーン全体で10社ほどの引き合いがある」という。
さらに上月氏は「アパレル市場は30年間で3分の2に縮小する一方で、商品数が2倍近くに増えている」と指摘。XRマネキンの利用を介し、衣服の設置場所が限られた店舗で数多くの商品を紹介できるようにするとともに、消費者がより手軽に衣服のデザインなどを確認できるようにしていきたいと抱負を述べた。アパレル業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)化につなげる考え。
(日経クロステック 野々村洸)
[日経クロステック 2022年5月18日掲載]