【製造業首位】海外展開加速。環境技術も優位。資金量9兆円規模。
2022年を迎え、あらためてパンデミックをはじめとするグローバルなイシューに対する取り組みの重要性を感じている。2020年以降、日常生活は一変したが、2021年後半にかけてはワクチンの摂取率の上昇に伴い、再び仲間と集まりディナーやゴルフを楽しんだりもでき、明るい日常を取り戻しつつあったが、オミクロン株の影響で再び国境は簡単に行き来できるようにならなくなった。
ベンチャーキャピタリスト教育機関のカウフマンフェローズの会長。データ解析やフィンテック、クラウドなどのIT(情報技術)のスタートアップに投資するSOZOベンチャーズを2011年に設立。
こうした環境変化の中、デジタル化の波の中、テレビ会議のZoomや仮想通貨取引所のCoinbaseのような大きな産業構造を変えてきた。そして、自動車業界も例外ではない。人類の発展は、車や飛行機等の移動手段で大きく発展してきた。しかし、ガソリン自動車は、CO2排出量が地球温暖化の大きな要因となり、地球環境に悪影響を与えている。
そんな中、E Uが35年までにガソリン社の販売を禁止するなど、世界で環境規制が強まっている。株価を見ても、電気自動車の代表格であるテスラが100兆円企業(1.114T)の一方、米国のGMが9兆円(91.54B)、Fordが8兆円(80.724B)、日のトヨタが35兆円、ホンダが6兆円と、株式市場での時価総額を比較すると、将来起こるであろう産業構造のシフトの大きなインパクトがすでに表れている。
この自動車業界のEV化に伴い、自動運転の裏方ではあるがこの分野で数少ない大きなビジネスになっている業種で活躍している企業が我々の投資先でもあるアプライド・インテューイション社だ。
自動車業界は、E V化で「ハードウェア産業」から「ソフトウェア産業」への転換期が訪れている。テスラは垂直統合してこのソフトウェア開発をしているが、旧来の自動車業界が急にソフトウェア開発に挑むのはそんなに簡単ではない。
自動車業界は従来よりピラミッド構造で多くのTier1、Tier2(一次下請けとか二次下請け)と呼ばれる部品や関連メーカーで支えられてきた巨大産業で、サプライヤーが補う役割が大きく、アプライド社は、そんなソフトウェアサプライヤーだ。同社は自動運転のシミュレーションをするソフトウェア開発から始まり、その開発をドライブ・データの管理ツールやマップに広げている。
シリコンバレー流で自動車大手へのソフトウェア供給体制をシリコンバレーだけでなく、米国車ビジネスのメッカのデトロイト、ドイツ、日本、韓国とグローバルに築いている。また、自動運転とEV化の波が訪れている関連業界の建設、農業、防衛等、同じ技術を必要とする関連業界は横にも広げている。
ソフトウェア化の余地はまだまだ始まったところで、"自動車業界の#1サプライヤーになれる可能性に一番近い位置にあるのがこのアプライド社だ"と、シリコンバレーの重鎮で直近のラウンドで4千億円(3.6B)のラウンドを主導したイーラッド・ギル氏は語っている。
こうしたシリコンバレー企業の成長速度は早い。創業者のキャサー・ユニス氏は、シリコンバレーでは珍しく、幼少に米国自動車のデトロイトで育っただけでなく、日本にも住んでいたことがあるユニークなシリアル・アントレプレナーだ。自動車業界でもシリコンバレーのイノベーションは大きな中核を補っていくだろう。今年も多くの産業構造改革を支援していきたい。
[日経産業新聞2022年1月25日付]