【国内1位】医療用医薬品に集中。がん領域の新薬開発に注力。
武田のウェバー社長は「中長期的な成長は力強い」と自信を示した(JPモルガン・ヘルスケアカンファレンス)
武田薬品工業は11日、主力品の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」について、ピーク時の年間売上高予想を上方修正すると明らかにした。従来は最大65億ドル(約7500億円)としていたが、開発や特許状況から後発品の登場が当分の間は見込まれないとして見直す。中長期的な収益の下支えにつながる可能性がある。
同社のクリストフ・ウェバー社長が出席した世界最大級の製薬業界の国際会議「JPモルガン・ヘルスケアカンファレンス」で明らかにした。ウェバー社長は「これまでの見通しは最も保守的なシナリオだった」と指摘。「エンティビオのピーク時売上高の見通しを修正しないといけない」と話した。具体的な修正値は今後示す。
エンティビオは同社で最も売上高が大きい治療薬。2022年3月期は前年同期比25%増の5380億円を見込む。従来は26年までに米国や欧州での特許が切れ、その後は競合他社によるバイオ後発品(バイオシミラー)が登場すると説明していた。
武田によると現時点で他社による後発品の開発は実施されていない。仮に開発が今後始まったとしても、臨床試験(治験)には3~4年以上かかるのに加え、同社が保有する製剤化や用法用量、製造法などの特許を侵害する可能性があり、その場合の法的手続きに3~5年ほどの時間を要するという。
バイオ後発品が登場すれば売上高が急減する「パテントクリフ(特許の崖)」に陥るとされていたが、今回の見直しで26年以降も武田の収益を支える主力薬になる可能性も出てきた。