【元売り大手】昭和シェルと経営統合。有機EL材料などにも強み
ENEOSホールディングス(HD)など石油元売り大手3社の2022年4~9月期連結決算が10日出そろった。そろって23年3月期の純利益見通しを上方修正したが、原油高と円安で在庫評価益がふくらんだ影響が大きい。脱炭素などで石油需要は中長期的な減少が予想され、各社とも稼ぐ力の再構築が求められる。
最大手のENEOSHDは同日、23年3月期の純利益予想(国際会計基準)を前期比39%減の3300億円に上方修正した。従来予想に1600億円を上乗せした。営業利益予想も3400億円から5600億円に引き上げたが、この上方修正はすべて在庫影響によるものだ。
通期の原油価格の想定は1バレル当たり90ドルから96ドルに修正し、為替は1ドル=120円から137円に見直した。
同社のエネルギー事業は各地の製油所で生産トラブルが相次ぎ、在庫影響を除く営業利益の見通しを200億円下方修正した。その分を資源高の追い風を受ける石油・天然ガス開発事業の上方修正でカバーする。
コスモエネルギーHDも同日、23年3月期の純利益見通しを220億円上方修正したが、在庫影響を除いた経常利益は1500億円と従来予想から50億円引き下げた。同社は千葉県市原市と堺市の製油所でトラブルがあったのが要因だと説明した。
ENEOSHD株は午後1時の決算発表の直後、前日比3%安まで売られ、この日の安値を付けた。8日の取引終了後に純利益予想を450億円上方修正した出光興産の株価は2日間で6%下げた。
国内の燃料油消費量は自動車の燃費改善などで年々減っており、元売り各社は市場の先細りに直面している。脱炭素の機運が世界的に高まる中、次の成長の柱として再生可能エネルギー事業を育てることが急務になっている。
初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!