【航空大手】10年1月に破綻後、市場にスピード復帰。路線別採算管理を徹底。
世界経営者会議の特別セッションで対談する一橋大学ビジネススクールの名和高司客員教授㊥とジャーナリストの森一夫氏㊨ (9日午前、東京都千代田区)
一橋大学ビジネススクール客員教授の名和高司氏とジャーナリストで元日本経済新聞社特別編集委員の森一夫氏は9日、第24回日経フォーラム「世界経営者会議」で対談した。8月に死去した京セラ創業者の稲盛和夫氏を取り上げた「今こそ生きる稲盛経営の真髄」がテーマ。名和氏は世界で注目を集める「パーパス(存在意義)経営」を稲盛氏が先行して実践していた点に触れ「素晴らしいところを改めて発見した」と述べた。森氏も「会社を設立したのはお金を稼ぐためではなく、結果として人々に豊かさを与えた」と応じた。
稲盛氏は京セラや、KDDIの前身となる第二電電(DDI)を立ち上げ、2010年に経営破綻した日本航空(JAL)の再建にも尽力した。組織を小集団に分けて採算管理を徹底する「アメーバ経営」や、自身の経験則に基づいた「フィロソフィ」と呼ぶ独自の経営哲学でも知られる。
名和氏は「経営の目的は利益を追求することかどうかを世界中で問われている。稲盛氏は大義、志を目指していた」と指摘。世界の新潮流となっているパーパス経営を先行して実践していたと評価した。
森氏は京セラと他社による共同出資会社の事業が失敗した際のエピソードを紹介。稲盛氏は「うまくいくと言ったのに申し訳なかった」として、出資した他社から株を買い戻したという。「出資なので買い取る必要はないが、自分に厳しい人だった。自身を理解して傲慢にならないことで大きな仕事を様々経験できた」と振り返った。
経営者の大きな課題である後継者探しについても議論した。名和氏は「アメーバ経営で自分の分身をつくろうとしていた。そういう人をどれだけ育てるかが経営者の使命だ」と説明。森氏も「稲盛氏は『事業をよく知っている人がいい』と社内で探していた」と述べ、社内で育成する重要性を指摘した。
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