【火薬から多角化】医薬、自動車部材、染料、農薬など展開。
東京工業大学の村上陽一教授や日本化薬などの研究グループは、電極に温度差をつけることで発電させる「熱化学電池」の性能を予測する手法を開発した。工場や自動車が排出する熱から電力を得る手法などの開発につなげる。
電極間の温度差によって生じる電圧を測る装置=東工大・村上教授提供
熱化学電池は電解液につけた2つの電極に温度差をつけることで電力を得る電池だ。熱を電気に変換する素子としては熱電素子が知られるが、熱化学電池は高い電圧を効率よく得られ、200度以下の低温で動作するといった特徴がある。工場の廃熱や自動車の排気熱は200度以下であることが多く、熱化学電池の特性を生かしやすい。
研究グループはこれまで明確でなかった、熱化学電池の電流や電圧などの性能が構成材料に応じてどのように決まるかの仕組みを解明した。これらの値の予測もできるようにした。原子や分子の構造を電子の状態から解析する手法を使い、電解液の粘度などから電圧や電流を精度良く見積もれるようにした。
村上教授は「熱化学電池を開発するのに必要な基礎的なメカニズムを押さえられた」と話す。電気自動車(EV)の電池を冷却する際の排熱や人体が発する熱などの活用も考えられる。今後、実用化に向けて共同研究先の企業を探す。
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