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【トヨタ系】水平対向エンジンと四輪駆動技術が特徴。米市場が主力。

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日産、電動化で反撃期す 2兆円投資と全固体電池が鍵

日経ビジネス
カーボンゼロ
コラム
自動車・機械
2021/12/6 2:00
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日産が長期ビジョンと併せて公表した電動車のコンセプトイメージ

日産が長期ビジョンと併せて公表した電動車のコンセプトイメージ

日経ビジネス電子版

日産自動車が2030年度までの電動化戦略を発表した。カルロス・ゴーン元会長の逮捕から約3年、経営の混乱と深刻な業績低迷を経て、ようやく前向きな長期戦略を打ち出せるところまではい上がった。だが利益水準はなお低く、それも自動車の需給逼迫という一時的な要因に助けられた側面は否めない。2兆円投資と全固体電池をひっさげ、電気自動車(EV)シフトで先を行く競合各社への反撃を期す。

「(事業構造改革計画の)『日産ネクスト』が着実に進展する中で、事業の再生から未来の創造へとギアをシフトする時が来た」

11月29日、日産自動車は電動化を柱とする30年度までの長期ビジョン「日産アンビション2030」を発表した。記者会見した内田誠社長はこのビジョンを「これから10年をかけて日産が進んでいく方向の羅針盤」と呼び、反転攻勢に出る準備が整ったとの思いを強調した。

オンライン会見で新長期ビジョンについて語る日産の内田社長

オンライン会見で新長期ビジョンについて語る日産の内田社長

長期ビジョンの中で、日産は30年度までに世界で販売する商品ラインアップの5割以上をEVやハイブリッド車(HV)などの電動車にする考えを示した。そのために30年度までにEV15車種を含む23車種の電動車を導入する計画だ。

国内販売の過半を電動車に

中間点となる26年度までに新車販売台数に占める電動車の割合を、欧州で75%以上、日本で55%以上、中国で40%以上にそれぞれ引き上げる。この間、電動化の加速に充てるために2兆円を投資する方針も明らかにした。これまでに日産が電動化に投じた投資のほぼ2倍に相当する。

意欲的なビジョンにも見えるが、台数をベースにした具体的な販売目標については「慎重にマーケットの進化を見守りたい」(内田社長)として示すことはしなかった。今回の発表について、専門家の中には「驚きのある数字ではなかった」との見方もある。

「他社の電動化競争がF1(自動車レースの『フォーミュラワン』)なら日産はまだ『ゴーカート』だ。今回のビジョンは具体的な強い目標を示すためのものではなく、地獄の底を見た会社が再生し、ようやく夢を語れる資格を得たというメッセージではないか」。ナカニシ自動車産業リサーチ(東京・港)代表アナリストの中西孝樹氏はこう指摘する。

業績が上向いてきたとはいえ、いまだ病み上がりの段階にある日産。市場からは、復活を語るには時期尚早とも受け止められている。

遠いトヨタホンダの背中

日産は11月9日に開いた21年度上期の決算発表会見で、21年度の連結営業損益が1800億円の黒字になる見通しだと発表した。以前の予想(1500億円の黒字)から300億円上方修正した。5月に公表した年度当初の営業損益見通しがトントンだったことを踏まえると、この半年余りで収支が改善したことは間違いない。

ただ、1800億円という営業利益は前回黒字だった18年度を4割強下回り、リーマン・ショック後のピークだった15年度(7932億円)との比較では4分の1以下にとどまる。同業他社の今年度予想と比べると、トヨタ自動車の2兆8000億円は言うに及ばず、ホンダの6600億円も遠い。スズキの1700億円、SUBARU(スバル)の1500億円をかろうじて上回る水準だ。

21年度は日産に限らず多くの自動車メーカーが業績を伸ばしている。北米を中心に自動車需要が強く、半導体不足の影響などによる供給制約のために値引きなしでも新車が売れる「売り手相場」に助けられた面が大きい。自動車市場が平時に戻った時に日産の収益力がどれだけ回復しているか、改めて実力が問われる。

日産が会社の立て直しに追われていた間にも、ライバルたちは電動化競争で先を走ってきた。独フォルクスワーゲン(VW)はEVなどを含む次世代技術に対し、21年からの5年間で730億ユーロ(約9兆3800億円)を投資する。EVの開発だけで350億ユーロ(約4兆5000億円)の予算を積み上げた。

全固体電池をゲームチェンジャーに

技術開発だけではなく、世界的に需要が拡大する電池の確保も重要なポイントになる。トヨタは9月、車載電池の開発と生産に対して、30年までに1兆5000億円を投資すると発表した。米フォード・モーターや欧州ステランティスも、新たに電池工場を建設する計画だ。

全世界で激烈な電動化競争が繰り広げられる中、第一線に返り咲くのは険しい道のりだろう。10年に世界初の量産EVとして「リーフ」を世に送り出したトップランナーとしての面影はうせ、いまや米EV専業のテスラや中国メーカーなどを追う立場になった。

そうした中、日産はゲームチェンジの切り札を「電池」だと考えているようだ。

今回示した長期ビジョンの中で、内田社長は独自に開発を進めている全固体電池に言及した。全固体電池は、正極と負極の間に挟む電解質を現行の液体から固体の素材に置き換えるもの。現在のリチウムイオン電池と比べ安全性が高く、温度変化にも強いとされる次世代電池で、自動車各社が開発を進めている。

内田社長は「現在のリチウムイオン電池と性能が同等であれば、全固体電池の開発を進める意味はない」とした上で、現在のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度を2倍にする一方、充電時間を3分の1にする目標を明らかにした。

EVのコスト「ガソリン車並みに」

価格競争力も追求する。「EVの車両コストをガソリン車と同等レベルまで引き下げ、EVの本格的な普及につなげる」(内田社長)と述べ、28年の時点で容量1キロワット時あたり75ドル、さらにその後は同65ドルまでコストを落とすことを目指すとした。

EVの価格がガソリン車並みに下がれば普及へのハードルは一気に下がる。競合他社に先んじて電池の技術革新に成功したメーカーは販売競争で優位に立てるだろう。日産は24年度に横浜工場(横浜市)にパイロット生産ラインを立ち上げ、28年度に全固体電池を搭載したEVを発売する計画だ。

全固体電池を巡っては、トヨタが20年代前半、VWは24年をめどに量産化を進める計画を発表している。ただ、コスト競争力のある電池を開発するにはまだまだ時間がかかるとの見方もあり、本格的な勝負はこれからだ。日産の発表を受けて、開発競争が一段と熱を帯びるのは間違いない。

現行のリチウムイオン電池についても、コバルトを使わない製品の開発や、仏ルノー、三菱自動車とのアライアンスを生かした調達の効率化などにより、28年度までに1キロワット時あたりのコストを現在に比べ65%削減するとした。全固体電池の実現やバッテリーコスト削減について、内田社長は「我々日産としての道筋はできた。これから具現化する道のりが一番の頑張りどころ。日産として、個人として、自信はある」と自信を見せた。

日産は再び業界の先頭集団に追いつき、追い越し、かつてのポジションに返り咲けるのか。有力自動車メーカーがこぞってEVシフトを競う中、リハビリに費やしていられる時間は長くはない。

(日経ビジネス 橋本真実)

[日経ビジネス電子版 2021年12月1日の記事を再構成]

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