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三井物産、多国籍チームでバイオ燃料事業に投資

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日経産業新聞
新型コロナ
コラム
環境エネ・素材
2021/8/2 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

中国での投資を決めた次世代燃料事業室の主なメンバー
(左から安さん、張さん、堀江さん、尾渡さん、高田さん)

中国での投資を決めた次世代燃料事業室の主なメンバー
(左から安さん、張さん、堀江さん、尾渡さん、高田さん)

三井物産がバイオ燃料事業に力を入れている。出資した燃料開発企業、米ランザテックの技術で工場の排出ガスから微生物を使ってエタノールを作る事業を中国で進めている。推進役は次世代燃料事業室のメンバーだ。3件目となった貴州省では新型コロナウイルス禍で現地を訪れずに契約締結する離れ業をこなした。様々な原料をもとにしたエタノールを燃料、化粧品など多用途に売り込んでいる。

■オンラインでプラント契約交渉

三井物産は2020年8月、ランザテックの中国合弁企業SGLT、国営エネルギー企業の貴州金元と共同で、貴州金元の合金鉄工場の排ガスからエタノールを作る事業に参画した。

米企業の技術を中国に輸出するビジネスで、日本企業が中心的な役割を担って仲介する例は珍しい。室長の堀江慶昭さん(44)は「当社が持つ事業開発力や取引のネットワークが評価された」と話す。

20年2月ごろから交渉を始めたが、新型コロナの影響で三井物産では駐在員だけが現地を訪れ、プラント建設などの投資をリモートで決定する異例のケースとなった。本来なら現地に関係者が一堂に会し、1週間程度は膝詰めで契約締結に向けてすり合わせなどをするが、全てオンラインでの交渉となった。

■通訳介さず、中国出身社員が活躍

現地の貴州金元とは、ほぼ毎日オンライン会議や電話でやりとりしたが、通訳を一切介さなかった。コミュニケーションを支えたのは当時、新入社員だった生まれも育ちも中国の張碧霄さん(27)だ。

通訳を介していると伝わりにくくなる機微な情報や相手側の細かな要求を、チーム内ですぐに共有することができた。張さんは「周囲の人に信頼してもらったおかげでやり遂げられた」と振り返る。

河北省で稼働中のエタノール製造プラント=ランザテックの中国合弁提供

河北省で稼働中のエタノール製造プラント=ランザテックの中国合弁提供

交渉にあたっては、意思決定のスピードに対する違いに苦労した。同案件の総投資額は7500万ドル(約80億円)に上る。貴州金元がスピード感を重視して迅速に交渉を進めようとするのに対し、三井物産側は投資に必要な前提条件などを慎重に分析し、社内稟議(りんぎ)を通して最終決定する必要があった。

韓国出身の安相玟さん(30)は「現地企業に合わせつつ、自分たちが譲れない基準と折り合いをつけながら極力速いスピードで社内に通していった」と話す。通常なら同規模の投資判断を下すまで約1年はかかるが、今回はおよそ半年で決着できた。

■多様性で新市場を開拓

次世代燃料事業室の大きな力となっているのが、メンバーたちの多様なバックグラウンドだ。同事業室は環境意識の高まりと新規事業の創出を目的に20年に設立され、様々な部署や年齢、国籍から集まった13人で構成する。

中国出身の張さんは大学で科学技術を専攻しており、プラントエンジニアリング会社からの中途入社など様々な経験や能力を持つ人材が結集している。

「気候変動に対応する環境ビジネスは新しいアイデアや技術が欠かせない。年齢や経験がものを言う分野ではなく、多様性が大事だ」と堀江室長は強調する。

■ジェット燃料や化粧品に応用

エンジニアリング会社から転職した高田健伍さん(30)は、サトウキビ由来などのエタノールをジェット燃料に活用する事業を担う。コロナ禍で足元の航空需要は激減しているが、中長期には国内外の航空会社でバイオ燃料のような持続可能な航空燃料(SAF)を取り入れることが潮流になっており、将来の需要拡大が見込める分野だ。

ただ、一般的にSAFの価格は既存の石油由来のジェット燃料と比較して3~5倍する。高田さんは「価格を下げるため、企業の継続的な努力が必要だ」とバイオジェット燃料の普及へ意気込む。

バイオエタノールをガソリンに配合するよう政策的に取り組む動きは中国、インドなど広がりをみせている。同事業室では、さらに別の用途にも可能性を見いだそうとしている。

尾渡柚香さん(27)は女性ならではの視点でエタノールを化学品とみて、環境に優しい化粧品への活用を提案している。現在は様々な営業部門と横断的に連携し、アジアや日本のメーカーと交渉を進める。「エネルギー事業を中心に手掛けているなかで、エタノールを化粧品にも応用できる環境があるのは面白い」と話す。

バイオ燃料の普及には、価格面や国による環境価値のギャップなどで乗り越えなければならない課題がある。次世代燃料事業室は大手商社ならではの国際的なネットワークを生かしつつ、多様な経験値を持つ人材の力もバネにして、インドや欧州をはじめとするグローバルな事業展開と収益源の育成に走り出している。

(燧芽実)

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