日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない
円やドルなど通貨をお互いにやり取りするのが「外国為替取引」です。為替相場の動きは景気や企業収益にも大きな影響を及ぼします。為替相場がどのように決まるのかを中心に説明します。
為替相場を動かす材料はいくつもあり、一つとは限りません。そのときどきで、注目される材料は変化していきます。ただ、一般には金利差や景気動向の影響を受けやすい傾向があります。
なぜでしょうか。資金は金利が高い方へと動きます。金利が高いほど、大きな運用益をあげられるからです。特定の企業や集団が金利の高い国・地域での資金運用を始める場合、いったんは手元資金をその国の通貨に変えることになります。このような動きが重なると、金利が高い国の為替相場が次第に上昇するというわけです。
2022年を例にとって見てみましょう。年初から秋にかけて、円相場は対ドルで1ドル=115円前後から151円台に下落しました。このときの急激な円安・ドル高の有力な材料といわれていたのが日米の金利差です。
長期金利の指標となる10年物国債利回りを、22年10月時点で比べてみます。米国が4%を超えていたのに対し、日本はわずか0.25%程度でした。金利差は年初の1%台半ばから大きく広がりました。「金利が高い国の通貨が買われる」という原則通り、高金利通貨のドルに人気が集まりました。
金融政策の動向も金利差と似た働きをします。米連邦準備理事会(FRB)は操作目標とする政策金利を引き上げるなど、金融環境の引き締めを志向しました。一方で日銀は緩和路線を据え置いていたという違いが円安圧力になりました。
景気動向はどうでしょうか。景気が悪化し始めると、中央銀行が金融緩和に踏み切るため金利が低下し、その国の通貨が売られるといわれています。その後、金融緩和で景気が持ち直す期待が高まれば、いずれは金利が上昇に転じるとの見方から通貨が買われる場合があります。景気悪化→金融緩和→景気回復→金融引き締め→景気悪化というサイクルを読んでいくことが大切です。