日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない
短期金利とは主に1年未満の借金の金利を指します。10年など長い期間の金利である長期金利と異なり、伝統的に中央銀行が金融政策として操作・誘導する金利として注目されています。短期金利が上昇すると長期金利も上昇し、個人の住宅ローン金利や企業の借入金利にも影響するため、さまざまな金利の「基点」となっています。
短期金利は主に市場で流通するお金の量や需給の逼迫度合いで上下します。例えば多くの人がお金を必要とするようになると、資金を融通しあう際の短期金利は上昇します。短期金利が上昇しすぎたと中央銀行が判断すれば、中銀はお金を市場に供給して金利上昇を抑えます。
世界の市場参加者が最も注目している短期金利は米国のフェデラルファンド(FF)金利です。米国の中銀にあたる米連邦準備理事会(FRB)はこのFF金利の誘導目標を変更することで金融環境を緩和したり、引き締めたりしています。
日本のFF金利にあたる金利は無担保コール翌日物金利と呼ばれています。短期の資金を貸し合う「コール市場」における調達金利のことを指します。日銀は無担保コール翌日物金利の金融調節を誘導目標にしていました。日銀は2013年に大規模な金融緩和を始め、世の中に直接的に供給するお金「マネタリーベース」の量に目標を変更しました。
マイナス金利を導入した16年には民間金融機関が日銀に預ける当座預金の一部の金利をマイナス0.1%に維持するようになりました。これが現在の日銀が操作対象とする短期金利です。マイナス金利は民間の銀行などにとっては当座預金に資金を置いておくと金利を支払う必要が生じるため、国債などへの投資を促して金利を低く抑える効果があります。
銀行間で資金を融通しあう国際的な銀行間金利としてはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が世界の様々な金利の指標として参照されていました。しかし金融機関による不正な操作が相次いで発覚し、一部を除き21年末で廃止となりました。現在はLIBORに変わる金利指標への移行が進んでいます。
現金を担保に債券を借りる債券レポ市場でのレポレートも短期金融市場では重要視されています。債券レポ市場は取引参加者を金融機関に限ったコール市場などと異なり、金融機関に限定されていません。
この他にも短期金融市場では、一時的な資金不足を補うために政府が発行する満期が数カ月の短期国債や企業が1年未満の資金調達をするコマーシャルペーパー(CP)も取引されています。