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今期の四半期決算はこう読む 4つの特殊要因に注意
プロとスゴ腕が勘所を解説 逆張りの発想も必要に

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2022/8/27 5:00
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写真はイメージ=PIXTA

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3月期決算企業の第1四半期(1Q)決算が出そろった。しかし、今年の1Q決算を読み解くのは意外と厄介だ。円安をはじめとした特殊要因の影響が大きく、売上高や利益の数字だけだと誤解しやすいためだ。今期の決算を読み解き、有望株を発掘するためのポイントを探った。

今年の特殊要因を知る前に、1Q決算を投資に生かす基本からおさらいしよう。「1Q決算は、会社の通期計画が実際にどうなったかが見える最初の機会。他の四半期よりサプライズが出やすく難しいが、そのぶんチャンスは多い」と語るのは、兼業投資家のはっしゃんさん(ハンドルネーム)。成長株投資で3億円を超える資産を築いたスゴ腕だ。独自の理論株価を使った投資判断を得意とし、多数の企業の決算をウオッチする。

では、具体的に1Qの数字をどう見るべきか。売上高や利益の前年同期比伸び率は基本だが、さらに重要な数字が「進捗率」、つまり「1Qの売上高や利益が、通期計画の何%まで進んだか」だ。

売上高や利益が、1Q時点で通期計画の何%に達しているかを表す。25%を大きく超えていればいずれ通期見通しを上方修正する可能性が高まるが、業態によっては売上高や利益が毎年、特定の時期に偏る場合もあるので前年同期との比較も必要

売上高や利益が、1Q時点で通期計画の何%に達しているかを表す。25%を大きく超えていればいずれ通期見通しを上方修正する可能性が高まるが、業態によっては売上高や利益が毎年、特定の時期に偏る場合もあるので前年同期との比較も必要

■1Qの進捗率が高い企業は投資チャンスの場合も

1Qは1年の25%なので、1Qの進捗率が25%を超えていれば計画より好調であり、いずれ計画が上方修正される可能性がある。「儲かっていることを取引先に知られたくないなどの理由で、好調でも上方修正を先送りする企業は少なくない」(マーケットアナリストの藤本誠之さん)ので、1Q時点では多くの投資チャンスが残っているのだ。

ただし「売り上げや利益が出る時期が常に偏っている企業もあるので、過去の1Qの進捗率とも比べる必要がある」(はっしゃんさん)。

特に業績が好調な企業の場合、1Q決算と同時に、上方修正を発表することもある。だとしても、投資タイミングとしてもう遅いわけではない。「1Qはまだ期の序盤で、投資家も半信半疑で見ている。いい決算だからといって、即座にすべてが株価に反映されてしまうことは少ない」と語るのはPayPay証券コンテンツ企画部長の臼田琢美さんだ。

さらにいえば、1Q時点の上方修正は企業の自信の表れ。期を通じて好調が続き、上方修正を繰り返すケースも少なくない。

■決算分析では4つの特殊要因に注意

ここまでが、平常時に1Q決算を読み解く基本だ。しかし今、2023年3月期の1Qは平常時とは言えず、決算を読み解くノイズにもなり得る特殊要因が多い。

一つは円安だ。為替相場は6月にかけて、数カ月で1ドル=110円台から同137円近くまで円安が進んだ。円安が増益要因になる輸出企業は、前期比の利益が大幅にかさ上げされている。

また、ロシアのウクライナ侵攻もあり、資源価格の上昇は急激だった。商品の原材料や物流のコストが大幅に上がり、利益が削られた企業は少なくない。さらに、今1Qの期間中は、中国で久々に新型コロナウイルスの感染が急拡大した時期でもあった。上海ではロックダウン(都市封鎖)を実施。中国国内の経済活動が大きく制限されたことで、多くの日本企業にも中国向け需要減や商品製造の停滞といった悪影響があった。

今回の1Q決算には、このような今年ならではの要因が影響しているため、「進捗率が高ければよい」と単純に考えるのでは不十分な可能性がある。主に、下にまとめた4つの特殊要因に注意が必要だ。

【特殊要因1】急激に進んだ円安
2022年3月から6月にかけて、ドル・円相場は1ドル=約115円から同137円近くまで一気に円安・ドル高が進んだ。輸出企業は想定為替レートを1ドル=120円以下に設定していたところが多く、為替要因だけで大幅な増益になる会社が続出。これがある意味「ノイズ」であるという認識は必要。
【特殊要因2資源価格上昇
エネルギーや原材料の価格上昇が、ロシアのウクライナ侵攻開始後に加速。多くの企業が原価やコストの急増に直面している。原価の上昇を売値に転嫁して利益率を確保できる企業と、それができずに利益が圧迫されるだけの企業とで明暗が分かれており、「値上げ力」を見極める目が必要になる。
【特殊要因3】中国のコロナ感染拡大
これまで新型コロナウイルスを抑え込んできた中国で、3~4月頃にかけて感染者数が急増。上海がロックダウン(都市封鎖)されるなど、経済活動に急ブレーキがかかった。中国事業や商品の生産に支障が出る日本企業も続出。悪影響が一時的なもので済むかどうかは予断を許さない。
【特殊要因4】日本のアフターコロナ
国内は3月以降にコロナ禍による行動制限がなくなり、この4~6月期からは旅行や外食で業績が急回復を見せたところが多い。ただし7月以降の感染再拡大を受け、再びキャンセルや来店者数減の動きもある。足元の好調な決算数字だけを見て投資すると、次の期に失速リスクがある点に注意。

■利益の増減を「要因分解」 逆張りの発想も必要

「例えば、三菱自動車の1Qは大幅増益だったが、増益分の多くが円安効果。仮に今後円安が落ち着けば、今の増益率は維持できなくなる可能性がある。逆にカゴメの上期の減益は、ほぼトマトなど原材料コストの上昇による。資源高が落ち着けば急激に業績が盛り返す可能性もある」(臼田さん)

今期ならではの特殊要因の影響は、やがて剥げ落ちる可能性がある。それを踏まえた「逆張り」の発想も今は必要だ。そのためには、決算短信の1ページ目だけではなく決算説明資料も精査して、利益の変動要因の内訳を確認したい。下記は、今回の1Q決算で印象的だった銘柄を臼田さんがピックアップしたものだ。

三菱自動車(東プ・7211) 意外な好決算だが円安の恩恵が大きい
1Qの営業利益は前年同期の約3倍だが、増益要因の多くが円安効果。「今後、為替要因が剥がれ落ちたらどうなるかは要警戒。ただ、為替要因を除いても、販売台数増や売値の上昇でコスト増を補えているので悪い決算ではない」(臼田さん)
三菱自動車の1Q営業利益の、前年同期比での増減要因の内訳(同社決算説明資料より)。販売台数の増加や売価の上昇、為替が増益要因となった一方、資材費や輸送費というコストの上昇が減益要因に

三菱自動車の1Q営業利益の、前年同期比での増減要因の内訳(同社決算説明資料より)。販売台数の増加や売価の上昇、為替が増益要因となった一方、資材費や輸送費というコストの上昇が減益要因に

信越化学工業(東プ・4063) 原料高の悪影響を跳ね返す好決算
電子材料など各事業が好調で、1Qの営業利益は前年同期比でほぼ2倍増。「中国の経済減速という悪材料がありながら、それを跳ね返す好決算で、利益率も上昇。今後悪材料がなくなればさらに上に行く可能性もあるパターン」(臼田さん)
東映アニメーション(東ス・4816) 円相場や原料高も無関係の好決算
今期は「ONE PIECE」など大型作品の映画公開を前に市場期待が高く、1Q決算が期待を下回り株価は下落。ただ純利益は過去最高で、「原材料高など昨今の悪材料がほぼ無関係の好調企業として注目できる。海外売り上げが伸びている」(臼田さん)
カゴメ(東プ・2811) イマイチな決算もほぼ原料高のせい
22年上期は大幅な減益決算で、直後に株価も急落した。しかし「減益の要因がはっきりしており、ほぼトマトなど原材料価格の上昇。それを除くとトントンの決算。今後、原材料の高騰が緩和すれば一気に業績が改善される可能性がある」(臼田さん)

■「値上げ力」がキーワード 人材系やリユースに注目?

もちろん、好決算を素直に受け取っていい場合も多い。特に悪材料を跳ね返して好業績の企業や、資源高や中国経済減速の影響を受けにくいビジネスで好業績の企業は注目度が高いと言える。「コストが上がっても売値の上昇でカバーできる『値上げ力のある』企業は、インフレの時代に強い」と藤本さんは指摘する。

こうした状況を踏まえて、1Q決算で注目できるのはどんな銘柄か。名古屋市で個人投資家の交流会を主宰するyamaさん(ハンドルネーム)は、業績予想の上方修正が見込める銘柄を先回りして買う投資法で利益を重ねてきた会社員投資家だが、「悪材料が多い中、本当に好業績と言える1Q決算は今のところ少ない印象だ。その中で注目業種の一つが人材系。特にITスキルを持った人材の派遣や採用を手掛けるところに好業績が多い」と語る。

はっしゃんさんは「特に好調な企業が多いのは、リユースビジネスをやっているところ。インフレだから中古品の需要が増しているわけで、景気が良くないことの表れだと思う」とみる。読み解き方に注意が必要な今期の1Q決算だが、有望銘柄発掘に役立つ情報であることは間違いない。

(臼田正彦)

[日経マネー2022年10月号の記事を再構成]

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