【たばこ国内製造独占】海外たばこが成長。食品・医薬も展開。
写真はイメージ=PIXTA
例えば、連続増配株の代表格として知られる花王。同社はこれまで32期も連続で増配した実績があり、1株当たりの配当額は20倍超に増加した。
そうした連続増配株には主に3つの魅力がある。1つ目は「買値で見た配当利回りが上昇していく可能性が高い」ということだ。増配が続けば、足元の配当利回りは低くても、長期では高いリターンが得られる。
2つ目の魅力は、「配当の原資である利益の長期的な増加に、会社が自信を持っている」という点。
連続増配株は個人投資家からの人気も高く、花王のように増配実績を積み上げた企業は「連続増配株」として広く認知されている。そのため連続増配の実績が長期にわたるほど、企業には「増配をやめれば投資家の失望売りを招く」というプレッシャーが生じる。
マーケット・ジャーナリストの和島英樹さんは、「企業が連続増配を行っているということは、『事業が長い目で見て伸びていく』という自信の表れでもある」と話す。
連続増配株の3つ目の魅力は、「配当が増えれば、配当期待の買いが入って株価の上昇も期待できる」という点だ。米国は40期以上連続で増配を行う"先輩企業"も多い。参考までに25年以上増配を続ける米国株で構成する「S&P500配当貴族指数」を見ると、過去10年で約2.6倍に上昇している。利回りアップや株価上昇の恩恵を受けるためには、長期保有が大前提となる。
連続増配の実績が長くても、それが続く見込みがなければ投資する妙味がない。有望な株を選別するために見るべきポイントを株のプロたちに聞いた。
まずは、業績、もしくは株価テーマがあるかを確認しよう。「多少は業績に波があってもよいが、長い目で見て右肩上がりで利益などが伸びていることが大切」と、DZHフィナンシャルリサーチの小松弘和さんは助言する。
長期で業績の追い風となるような株価テーマも重要。例えばプロは「健康需要の拡大」(証券アナリストの宇野沢茂樹さん)、「送電線網の整備」(三木証券の原口裕之さん)、「国土強靭化」(エフピーアイの藤ノ井俊樹さん)などに着目する。
増配を続ける"体力"を見極めるために財務や配当性向もチェックする。自己資本比率は業種によって水準が異なるため、同業他社と比較しよう。
利益の伸長に伴って配当金を増やしていく企業を選びたい。そうした企業を見極めるため参考になるのが、純利益に占める配当の割合を表す「配当性向」だ。無理に増配を続けることで配当性向が高まっている企業も少なくない。「配当性向50%以下が一つの目安となる」と藤ノ井さんは助言する。
還元姿勢のチェックも重要だ。同じぐらい長期の連続増配株でも、そのことを大きくアナウンスしている企業と、そうでない企業がある。自社のIR(投資家向け広報)サイトなどに「還元方針」などのページがあり、連続増配実績を紹介している企業は、それだけ増配を続けることに意欲的であると期待できる。
長期の株価の推移も見逃せないポイント。松井証券の窪田朋一郎さんは、「株価は投資家からの評価を素直に反映している」と話し、月足チャートで10年間の推移を確認して上昇しているかどうかを見るといいと続ける。
長期の連続増配であっても途切れる可能性はある。例えば、日本たばこ産業はコロナ禍で業績が悪化し、2019年12月期を最後に16期連続増配で記録が途切れた。当時の同社の配当性向は約80%の水準に高まっており、黄色信号がともっていた。"黄色信号銘柄"を避けるには、丁寧な銘柄選びが必須だ。
米国株のように40〜60期も連続して増配する企業はないものの、日本でも20期超えの連続増配の実績がある企業はある。そこで、時価総額が1000億円以上で連続増配実績が21期以上の銘柄を「スーパー連続増配株」として、株価や配当の推移を確認した。
結果は、スーパー連続増配株は価格の上昇力も強いことが分かった。直近10年の株価は、32期連続増配の花王は約2.2倍。その他の企業も、少なくとも約1.7倍に株価が上昇している。
連続増配株は、持ち続ければ買値で見た利回りが上昇する。スーパー連続増配株について、10年前に購入していた場合の買値での配当利回りを確認したところ、足元の利回りは3%に及ばなくても、買値の6%以上の高利回りとなっている株があった。
データは2023年1月6日時点
やはり、連続増配株は長期で持ってこそ魅力が発揮されるようだ。10年以上の長いスパンの保有を考えたい。
(大松佳代)
[日経マネー2023年3月号の記事を再構成]
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