【接着材大手】スマホなど精密機器向けで高い世界シェアを誇る。
11日の東京株式市場で電子部材メーカーのデクセリアルズ株が急伸し、終値は前日比502円(17.8%)高の3320円と制限値幅の上限(ストップ高)となった。前日に発表した2022年3月期の連結純利益が166億円と前の期比で3倍に増えたことが好感された。同日に50億円を上限とする自社株買いを発表し、買いが集まった。
同社はタッチパネルの電子回路に使う導電性フィルムやディスプレー用の反射防止フィルムなどで世界トップシェアを持つ。半導体不足の影響が少ない高価格帯のスマートフォンやパソコン向けが伸びている。
23年3月期の連結純利益は前期比2割増の200億円の見通しと市場予想を18%上回る。9割の製品を国内で生産するため円安の恩恵があることも意識された。23年3月期の想定為替レートは1ドル=118円。円安が1円進むと6億6000万円の営業増益になる計算だ。東海東京調査センターの石野雅彦氏は「円安は海外の顧客から見れば製品が割安になるため好調な受注が維持できる。為替予想が保守的であり、さらなる増益が見込める」とみる。
予想PER(株価収益率)は9.9倍。楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「市場が伸び悩む中で増益は評価できる。割安な予想PERも魅力だ」と話す。