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立川勇次郎氏 石炭で失敗、電鉄の開祖 
相場師列伝

2021/5/29 2:00
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弁護士から実業界に転じた立川勇次郎は、友人と共同出資でリスクの大きい鉱山業に手を染める。明治22(1889)年、27歳のことだ。その鉱山は筑豊炭田の一角に位置する楠橋炭鉱と言い、初めは順調な滑り出しで、立川は現地に詰めっきりで、事業の進展を喜んだ。ところが、同25年になって状況は一変する。立川は往時を回顧する。

立川勇次郎(「京浜電鉄沿革史」より)

立川勇次郎(「京浜電鉄沿革史」より)

「25年という年は炭価が激変をきたした時である。門司、上海、香港どこでも売れ口のない石炭が山を成している。このようなわけだから、値段は従来の半額以下に下落した。この時もし私が、実業界の経験ありしならば、応急の処置をとって、失敗の量を減じ得たかも知れない。しかるに、何分初めての仕事であるから、機敏な行動に出ることができなかった」(朝比奈知泉編「財界名士失敗談」)

相場変動の大きな石炭の世界に飛び込んで、はじめの数年は「ビギナーズラック」(初心者の僥倖)にも恵まれて順風満帆であったが、やがて馬脚を現す。炭価が暴落すれば、在庫を減らして、炭価の回復に備えるなど、策を講じなければならない。ところが困った、困ったと、ただうろたえるだけでは傷は深まるばかりである。とうとう、支払う賃金の出どころすらなくなってしまった。相棒の小安峻も元日銀理事で実業体験がほとんどないので、いざというとき、力にはなりそうにない。

「せっかくもうけた金もことごとく吐き出してしまい、全くの赤裸々になり、それで、26年にはこの鉱山をやみやみ人手に渡した。元来、石炭くらい、価格の変動の激しいものはない。したがって、奇利を博すこともあり、またうんと損することもある。それも少ない量のものなら、始末もよいが、山のごとき石炭ときては、売れ口のないとき、実際その始末に窮する」(同)

三井、三菱のような資本力のあるところなら、不況にはたえ、捲土(けんど)重来を期すこともできるが、立川は鉱山業を諦め、電鉄事業に取り組む。実は、立川は早くから電鉄事業に着目し、東京市内の電鉄事業に強い意欲を示していた。しかし、当局の許可が下りないまま、炭鉱業に身を託していたが、炭鉱業の失敗で改めて電鉄事業に意欲を燃やす。今度は、のちに鉄道王と呼ばれる雨敬こと雨宮敬次郎と組んでの事業展開だけあって、ことはスムーズに進展する。

「京浜電鉄沿革史」の冒頭には若き立川の雄姿を掲げ、こう書き出されている。

「関東における電鉄事業に嚆矢を放ったわが社は、明治31年大師電鉄の名の下に設立され、翌32年運輸開始、同年社名を京浜電鉄と変更し、以後逐次事業の拡張、資本の増加を行い、今日に至った」

立川は日ごろから「産業の発達は常に交通機関と並立すべきである」と強調していた。京浜電鉄、東京市街鉄道の事業が緒に就くや、東京・大阪間の高速度電気鉄道を企画して明治40年以来、再三にわたって申請し、また一方、東京市内高架鉄道の架設の必要性を盛んに論じた。「この両者、いずれも当局の容れるところとはならず、志を達するを得なかったが、当時において早くもこの卓見を持していたことは、驚嘆に値するものがある」(実業之世界社編「財界物故傑物伝」)

立川は地元岐阜の経済振興にも力を入れ、養老鉄道の設立に尽力、揖斐川電力(イビデン)の初代社長を務めた。

=敬称略

信条
・産業の発達は交通機関と並立すべきである
・電気企業の各方面にわたり、新事業に先鞭をつけた
・精励よく新事業の達成に務めた
(たちかわ ゆうじろう 1862-1925)
文久2年(1862年)岐阜県出身。早くから法律家で身を立てようと法学を学び、若くして弁護士になる。名古屋で開業するが、明治19年上京、この時四囲の情勢を洞察するに、実業界にこそ将来性を感じ、東京市内に電気鉄道の敷設の計画書をまとめるが、許可されず、同22年九州で友人と鉱山業に乗り出す。同25年の炭価の暴落で鉱山を手放す。同26年雨宮敬次郎の協力で東京電気鉄道を企図、同32年大師電鉄が運転開始、同年雨宮敬次郎の企画した京浜間の鉄道と合併、京浜電気鉄道と改称。同33年東京電気鉄道を東京市街鉄道と改称、常務に就任。
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