日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない
債券の発行市場は政府や企業など発行体が資金を調達するために債券を販売する市場で、債券の発行条件や販売の仕組みなどを決める機能を持っています。流通市場である「セカンダリーマーケット」に対して「プライマリーマーケット」とも呼ばれます。債券はその種類や年限、発行規模によって発行方式が異なるので、発行市場についての知識も必要です。
債券の代表格である国債は公平を期し、透明性を確保するために入札によって発行条件が決まります。年限によって入札方式や頻度が異なります。参加する大半は証券会社ですが、銀行など投資家が直接入札に参加することもあります。証券会社は落札した国債を流通市場を通じて投資家に販売します。
国債には満期まで1年以下の国庫短期証券(短期国債)と2年以上の利付国債があります。利付国債は、発行期間(償還期間、満期)によって、中期国債、長期国債、超長期国債などがあり、2年から40年までさまざまな期間で発行されています。発行市場で新規に発行される債券は新発債と呼ばれます。すでに発行された債券は既発債(オフザラン)と呼んでいます。
債券の発行には公募方式と私募(非公募)方式があります。公募方式では一般の投資家を対象に広く発行されるのに対し、私募方式では特定の投資家のみを対象に発行されます。市場における債券の発行の多くは公募方式が採用されています。
国債の発行のほとんどは入札発行によって発行されています。入札発行とは、発行者があらかじめ発行総額を決めておき、入札によって発行する価格などを決定する方式です。財務省は提示した価格が高い金融機関から順に国債を売却(発行)します。市場参加者は流通市場の取引価格などを参考にしながら入札に参加します。
2004年には日本で「国債市場特別参加者制度」が導入されました。欧米主要国における「プライマリーディーラー制度」を参考にした制度です。資格を取得するには国債入札で一定割合の落札実績が必要になります。国債の安定的な消化の促進と、国債市場の流動性を維持することが目的とされています。
国債市場特別参加者には財務省との対話への参加など一定の恩恵がある一方、入札で一定額以上の応札をするなどの義務が課されます。日銀の異次元緩和が長引いたことで国債の利回り低迷が続き利益が見込みにくいことから、特別参加者の資格を返上する市場参加者も出ています。