【海運大手3社の一角】自動車運搬船のほか、資源を輸送するばら積み船に強い。
日本郵船のLNG燃料で運航する自動車運搬船
1日の東京株式市場で海運株が逆行安となった。割安な高配当株を物色する流れからこのところ上昇が続いていたが、3月末の配当落ちが近づくなかで過熱感が意識され売りに押された。業績は下降気味で、来期も高い配当を維持できるかを不安視する声もある。
業種別日経平均で「海運」は前日比1%安と、3%安となった前日に続いて下落した。1日は日経平均株価が0.3%上昇するなかでの逆行安だ。個別では日本郵船と商船三井が2%安となった。
このところの「割安・高配当株」物色の流れに乗って急ピッチで上昇していたため、「過熱感が意識された」(松井証券の窪田朋一郎氏)との指摘がある。郵船や川崎汽船の25日移動平均からの乖離(かいり)率は2月27日時点では1割強と、過熱感の目安とされる5%を大きく超えていた。3月相場に入り、月末の配当権利落ちが意識されるなかで個人投資家らによる利益確定売りが進んだとみられる。
郵船など大手3社は、1月末から2月上旬にかけて2023年3月期通期の連結経常利益予想をそろって下方修正した。新型コロナウイルス下で膨らんだコンテナ特需の落ち込みが顕著になるなか、来期も高い配当を維持できるかを不安視する声が出ている。QUICK・ファクトセットがまとめたアナリストによる予想平均では、商船三井の24年3月期の1株あたり配当は148円と今期会社予想比で約400円減が見込まれている。
27日には日本郵政が保有するゆうちょ銀行株を市場に放出すると発表。売り出しに応募する手元資金を確保するため、利益が出ている海運株に換金売りが出ているとの見方もあった。