日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない
金融経済懇談会に出席する日銀の野口審議委員(1日、秋田市)
日銀の野口旭審議委員は1日の講演で、賃金上昇には「『物価は上がらないもの』という物価観の転換、すなわち『物価のノルム(社会通念)』の転換が必要」と述べた。物価の基調が低い日本では「インフレ予想の上昇が賃金上昇に結びつく必要がある」と指摘し、金融緩和の継続は「そのための最も基本的な要件」と強調した。
秋田県の経済界関係者らが参加する金融経済懇談会で講演した。消費者物価の上昇率が10月に3.6%に達したことについて「基本的には輸入材価格上昇の影響」と分析。海外からのコストプッシュ要因が剥落すれば「再び2%を下回る」と見通したうえで、「物価が基調的に上昇していくことが必要」との認識を示した。
一方で、足元の価格転嫁の広がりについて「物価が上がらないことを前提とした企業の行動原理が変わりつつあることを示している可能性がある」と期待感も示した。物価のノルムが変化することが2%の物価目標を持続的・安定的に達成するうえで「重要なポイントになる」と話した。
急激な円安を巡っては「各経済主体の調整コストを増加させるという不利益を生む」とマイナス面に言及した。ただ、変動相場制において金融政策は「国内マクロ経済の安定に割り当てられている」として政策修正には否定的な見解を示した。
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