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2022年11月30日(水)
8301 : 銀行
東証

日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない

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イングランド銀ショック、実相と見通し

2022/9/29 12:06
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すべては、英トラス新首相の大型減税案、突然の発表に始まる。天然ガス急騰で今冬の暖房費を国が補助する政策もある。市場では一気に英財政不安が生じ、英国債売りの嵐。ヘッジファンドも投機的売り攻勢に参入した。かくしてポンド暴落も含め、「英国売り」の様相となり、イングランド銀行(中央銀行)は危機感を強く意識するに至った。年金運用も危機的状態が想定される。

そこで、突然、量的緩和再開を決定。緊急時限措置とはいえ、市場は全く想定していなかった。量的緩和政策(QE)どころか、イングランド銀も米連邦準備理事会(FRB)と同様に利上げと量的な金融引き締め(QT)を実行するとの観測が圧倒的主流であった。そのQTは延期との発表だ。

英国債先物売りに走っていた投機家たちは完全に虚を突かれ、マージンコール(追加担保の差し入れ要求)を突き付けられた。損切りが損切りを呼ぶ連鎖で英国市場は大波乱。

この市場異変は直ちに米ニューヨーク(NY)市場に伝わる。イングランド銀は、いざとなれば、暫時、金融緩和に切り替えた。FRBも、いざ、米国不況入り不可避となれば、利上げとQTは一時停止となるのではないか、との発想には追い風となった。FRBは否定するが、利上げに伴う不況で来年は利下げとの観測が、すでに市場では絶えなかった。

市場内部要因としては、おりしも米10年債利回りが4%を突破して、投機的米国債売りポジションが蓄積していた。そこで、イングランド銀サプライズが格好の利益確定手じまいの口実を提供した感もある。同利回りは3.7%台まで短時間に急落。一日で20ベーシス・ポイントを超える変動は債券市場でおおごとである。債券ディーラーが嘆く。「出勤前は4%突破、会社に着いたら3.7%台」あたかもキツネにつままれた感が強い。外為市場では米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出する主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す「ドルインデックス」が114台から112台まで急落した。米株価は反騰を演じた。

同時に、市場の中央銀行への不信感も強まった。

そもそもFRBは、みずからインフレは一時的との痛恨の判断ミスを犯し、市場は神経質になり、金利乱高下を招いたことが、蒸し返される。

さらに、余波は日銀にも及ぶ。円買いドル売り介入中にイングランド銀行から思いもかけぬ「ドル売りの援軍」到来の様相だ。

人民元安を持て余す中国人民銀行にも、暫時、朗報となった。すでに、人民元防衛策として、人民元基準値を高めに設定してきた。銀行の外貨保有高制限や外貨取引コスト引き上げなど、あれこれ、手を尽くしてきた。習近平(シー・ジンピン)国家主席3期目に向けた共産党大会を控え、経済波乱は許されない。

かくして、イングランド銀ショックは、世界の市場を揺さぶった。

しかし、FRBも日銀も金融政策の基本的スタンスを、この程度で変えることはあり得ない。

株価は弱気相場入り。外国為替はドル高トレンドが続くであろう。

米国の連続0.75%利上げとQTの引き締め合わせ技に、世界の中央銀行が苦慮する構図は変わらない。

豊島逸夫(としま・いつお)

豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
YouTube豊島逸夫チャンネル
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
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