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お金で「時間」を買えば、それが余裕につながり幸せな時間を得ることができるかもしれない(写真はイメージ=PIXTA)
「幸せを買う」という不思議なテーマを考えてきた12月も、最後の週となりました。最後に考えてみるのは「幸せを得るために、別のモノにお金を払う」という逆転の発想です。
人の時間は有限です。人生が長くなったといってもまだ100年がようやく見えてきたというところです。また1日が24時間の積み重ねである、ということも変わりません。
私はライフハック系の書籍やPC系の雑誌、ネットのコラムを読むのが好きですが、理由のひとつは「時短」のテーマが多く取り上げられるからです。例えば私がパソコンをたたく文字のスピードが速くなれば、私は同じ仕事をより短時間でできることになります。あるいはアイデアをより早くまとめて素早く仕上げられるテクニックを身につければ、仕事を1時間早く終えてゲームやアニメを見る時間が増えたり、子どもと過ごす時間が増えたりするかもしれません。
家事もそうです。ご飯をつくる回数が誰でも3回あるのなら、台所とテーブルを何度も往復する回数を減らしたり、調理や片付けの時間を減らしたりできれば、その分のんびりする時間を確保できることになります。
あなたの「幸せ以外」の時間を減らすことができるなら、それは結局のところ「幸せを買っている」ともいえるわけです。
2018年に、夫婦が共働きで合計年収が1000万円以上の世帯を「パワーカップル」と定義した三菱総合研究所のリポートが話題となりました。私はそのライフスタイルに注目しました。そこでは「お金を払って時間を買う」という発想が強くあったからです。
紹介されていた内容は例えば「ロボット掃除機の購入比率が既婚者平均の2倍」「カット野菜を気にせず買う比率が既婚者平均の1.6倍」「ファイナンシャルプランナー(FP)などへの相談にお金を払う傾向がある」などです。いずれも「時間を節約するために、何か別のサービスや商品にお金を払う」という行動を実行に移しているということになります。
ロボット掃除機は家族のいないときに機械に自動で掃除をさせるわけですから、時短の象徴的存在です。共働き夫婦の「三種の神器」はこれに加えて、食洗機と洗濯乾燥機ですが、いずれも時短に役立ち、私たちの余裕時間をその分増やしてくれます。値段の高さを補って余りある価値があります。
カット野菜もカレー用、サラダ用、肉じゃが用のようにパッキングされて時短調理につながりますし、フードロスを減らせる効果も期待できます。最近では時短調理に役立つ配食サービスも充実しています。もちろん、お金を払えるということが、高価なロボット掃除機を入手する「時間を買う」力となっているわけですが、カット野菜の活用などは参考になるように思います。
忙しい中、「時間を買う」ことで、幸せの時間を増やしてみることは、チャレンジしてみたいテーマだと思います。
もう一つ、「幸せを買う」アプローチで無視できないのは、年収を増やせばその分買えるモノも増える、という構図に改めて着目してみることです。
社会人になってからも学び直すためにお金をかける人がいます。資格取得のための授業を受けたり、社会人大学院に通ったりする人が長い人生で年収増を勝ち取れば、かかった費用の回収はもちろん、増えた年収により「幸せを買うお金」を多く得ることになります。
学び直しは人生で何度もあることではありませんが、今のような時期には真剣に考えてみることをおすすめします。キャリアアップの糸口がみつかるかもしれません。
なお、雇用保険には教育訓練給付金制度があり、教育費用の一部を負担してもらえます。また会社によっては仕事に直結する資格なら受験費用やテキスト代を出してくれることもあります。こうした補助金の仕組みはぜひ確認してみましょう。
今週のテーマは、幸せを直接買うのとはちょっと違う話でした。「幸せのために時間を使う」ために、それ以外の時間を短くするためにお金を使うのは、幸せの買い方のひとつといえます。ちょっとややこしいでしょうが、自由時間を増やせれば増やせるほど、私たちは幸せに振り向ける時間をたくさん確保できるという理屈です。
また、年収増が実現すれば幸せを買う予算そのものも増えます。
Life is Moneyを広くとらえ、こうしたお金と幸せのつながりも考えてみたいところです。
さて、今年は新型コロナウイルスの影響で生活が大きく激変した年となりました。それでも、家族や友人の笑顔、あなた自身の笑顔が幸せにつながっていることは変わりません。年末年始は、私たちのライフスタイルの見直しを考えてみるにもいい時間です。ぜひ年末年始の時間を有意義に活用してみてください。
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「FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。