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保有特許に注目 日本のお家芸「化学」分野の成長株
工藤特許探偵事務所

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株式投資
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2021/6/1 2:00
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レックの抗菌・抗ウイルス商品「バルサンプラス」シリーズの「クロラスバリア」。同社はライバルに模倣されやすい日用品の競争力を特許で守る

レックの抗菌・抗ウイルス商品「バルサンプラス」シリーズの「クロラスバリア」。同社はライバルに模倣されやすい日用品の競争力を特許で守る

企業が保有する特許(=技術力)に着目して有望銘柄を発掘する「工藤特許探偵事務所」。「企業が保有する特許の経済価値(技術力)の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、成長株を探していこう。

この連載では、技術の経済的価値を示すYK価(下囲み参照)の過去2年間の変化率に着目し、業種ごとに成長企業を紹介している。今回取り上げる分野は「化学」だ。

「化学」は産業の基盤を支える重要な技術であるとともに、日本が国際的な競争力を維持できている数少ない分野でもある。また、生活用品の生産にも欠かせない身近な技術だ。「化学」業種で注目されているのは、やはりハイテク製品を支える機能性材料に関する技術だ。特に中小企業では、電子デバイス材料(部材)やフィルム、シート、塗料などに関する開発が活発であり、これらの分野でYK値が上昇している。以下、YK値の成長率が高い4銘柄を紹介する。

第1位レック。清掃用品や殺虫剤を手掛ける。水溶性のペーパータオルや排水口用のごみキャッチャー、吹き付け式の殺虫剤など日用品に関する技術が伸びた。一見地味だが、特許とは他社による模倣を禁止するものなので、日用品のように簡単にまねができそうな製品ほど重要となってくる。同社は特許をうまく活用し、今後着実に業績を伸ばしていくだろう。

第2位田岡化学工業は、電子デバイス用材料や医薬中間体(医薬品原料と薬の間にある製品)を強みとする。大きく成長したのはフルオレンという化合物を含むプラスチックに関する技術。これは小型カメラのレンズに用いられる。小型カメラはスマートフォンの他、様々なデバイスに搭載される可能性があり、IoT(モノのインターネット)関連銘柄としても注目していきたい。

第3位サカタインクス。印刷用インキの大手。この2年間でパッケージ向けのインキや印刷などに関連するYK値が伸びている。パッケージ印刷の技術は、近年の脱プラスチックの流れの中で、包装をプラスチックから紙に置き換えていくための重要な技術となっている。同社のシェアはさらに拡大する可能性がある。

第4位ニイタカは業務用アルコール製剤などを提供する企業。従来ノロウイルス対策にも有効な高性能洗浄剤に関する技術力を伸ばしていたが、コロナ対策用にも注目されている。需要は当面は大きいと考えられるのに加え、今後は発展途上国でも清潔に対する意識が高まることも予想される。同社の成長余地は大きい。

今回取り上げた4銘柄は、高い技術を活用して日々の生活に欠かせない製品の製造を支えている企業だった。紹介した4銘柄以外では、フィルムなどの工業材料を提供する有沢製作所、インキと合成樹脂(成形材料)に強みがある東京インキ、食品容器製造大手であるエフピコなどが技術成長銘柄として挙げられる。

YK値とは? 技術力(特許価値)で成長株を探す方法


YK値は工藤一郎国際特許事務所が開発した指標で、出願された特許に対する閲覧請求や無効審判など、ライバル企業が特許の内容を調べたり、無効にするために弁理士に支払った費用から算出する。弁理士コストは50万~100万円程度、訴訟を含めた場合は数百万円程度であり、YK値はこの金額を基準として算出する。なお、実際の手続きには弁理士コスト以外も必要で、全体では弁理士コストの10倍、数千万円程度になることもある。ただし、全体のコストと弁理士コストはおおむね比例するため、弁理士コストから技術の価値は推定できる。YK値は特許価値評価ウェブサービス「PATWARE」で参照可能。

YK値が上昇すると時価総額(株価)の増加も期待できる。図は日東電工の過去30年間の株価とYK値の推移だが、両者には一定の相関が見て取れる。このコラムでは成長株を探すため、過去2年間のYK値上昇率に着目。業種ごとに増加率上位銘柄を成長株として紹介する。特許価値の変化が株価に反映されやすい中小型株が対象だ。なおYK値は株価には着目していない。株価が既に割高になっている場合もあるので、PERやPBRなども合わせて参考にしてほしい。
工藤一郎(くどう・いちろう)

弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。大阪大学工学部卒。NECで磁気ヘッド開発に従事した後、知的財産部などで特許実務に携わる。2000年4月に工藤一郎国際特許事務所設立。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

[日経マネー2021年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2021年7月号 大化け期待のNEXT成長株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/5/20)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス
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