【テープ基幹の総合材料メーカー】液晶・半導体、医療用など多角展開。
ニッタのロボットハンド。不定形、バラバラ、つぶれやすいという特徴を持つ食品・食材のハンドリングが可能
技術的な観点から有望銘柄に注目する「工藤特許探偵事務所」。過去2年間におけるYK値(下囲み参照)の成長率が高い銘柄を、業種ごとに紹介している。今回は「ゴム製品」だ。
ゴム製品はタイヤや伝動ベルトなど、自動車関連製品を手掛ける企業が多く属する業種だ。ゴムチューブなどの工業用ゴム部材を手掛ける企業も含まれる。
この分野で注目されている技術もやはり自動車周辺の技術が多い。長年にわたって技術を蓄積してきた企業が、その技術力を生かして新しい製品分野に進出している事例が散見される。中堅企業では産業機械用ベルトやロボットハンドなど、モノづくりの基盤を支える部材の技術開発も活発だ。以下、YK値成長率上位の4銘柄を紹介する。
第1位はニッタ。産業機械用のベルトやメカトロ製品を提供している。近年はロボットハンドに関する特許が注目されている。同社のゴム製のロボットハンドは食品などの崩れやすいものをピッキングすることが可能。近年、食品工場などでは労働力不足が問題となっている。従来人間が行っていた盛り付け作業などを自動化できる同社製品の需要は増加していくのではないか。
第2位の三ツ星ベルトは自動車エンジン用の伝動ベルトの大手で、防水材なども手掛ける。YK値を押し上げたのは貯水池や廃棄物処分場などに用いる遮水工法に関する特許だ。近年、日本各地で気候変動の影響による水害の大規模化が問題となっており、貯水池や廃棄物処分場の防水工事が必要となることも多いと考えられる。同社の活躍が期待できるだろう。
第3位は横浜ゴム。タイヤで国内3位。得意とする高性能タイヤに関する特許がYK値を押し上げている。エンジンや変速機などと異なり、タイヤはEV(電気自動車)にも必須の部材だ。EV全盛時代になっても同社は堅実に業績を伸ばしていくと予想する。
第4位のバンドー化学は自動車用・産業機械用ベルトや各種のゴム部材を手掛ける。YK値の成長に寄与しているのは光学用透明粘着剤シートに関する技術。これはタッチパネルの各部材の貼り合わせに使う部材だ。特に今後需要拡大が見込まれる車載用ディスプレーに向く特長を備えているという。
今回取り上げた企業は、ベルトやタイヤなど自動車周りのゴム製品を手掛ける企業が多かったが、周辺分野に積極的に進出して、その長所を伸ばしている。また、タイヤなど多くの自動車用ゴム製品はEVにも必須の部材だ。将来、EVが主流になっても堅調な需要が見込めるだろう。
上記の4銘柄以外では、タイヤ大手でゴルフ用品なども手掛ける住友ゴム工業や、産業用プラスチックフィルム、ゴム手袋、コンドームなどを提供するオカモトなども技術優良銘柄として挙げられる。