【インターホン首位】住宅用テレビドアホン主力。ケア市場も強化。
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名古屋の長期投資家さんは配当投資で1億円超の資産を築いた個人投資家だ。その投資スタイルは安定配当が期待できる割安株に長期で分散投資するというもの。全225銘柄、時価評価額で約9000万円の有配当株を保有する(7月末時点)。
銘柄を選ぶ際、財務内容やビジネスモデルなどはもちろんチェックするが、特に重視しているのが配当の持続性と増配余地だ。着実に配当が増えていきそうな銘柄を探して長期目線で投資。増配によって配当額が増えていけば、10年後、20年後には購入価格ベースで見て高い配当利回りが享受できるはず、という戦略だ。受け取った配当金は使わずに再投資するという。
この配当成長株投資の妙味を教えてくれたのが、2004年、投資を始めて間もない頃に買った中央紙器工業だ。当時の株価は260円、配当は1株6円。配当利回りは2.3%にすぎなかった。ところが同社は増配を重ね、直近の年間配当は1株40円まで成長した。
7月末時点の株価だと配当利回りは3.49%に過ぎないが、名古屋の長期投資家さんの買値である260円で計算すると、実質的な配当利回りは約15%にもなる。
「初期の投資額は配当金で回収済み。途中で持ち株の半分を売却しており、値上がり益も得ている。大きな利益をもたらしてくれたありがたい銘柄の一つ」
このほかにも09年に買ったユー・エス・エスの買値ベースの実質配当利回りは13%、12年に買ったアズワンも同9%になるまで配当が増えている。
一旦買った株は長期保有が原則だ。買った後、株価の上下はあまり気にしない。配当を育てている最中、株価が大きく値上がりすると売りたい衝動に駆られることもある。実際一部を売却することもあるが、時価総額と配当が長期目線で増え続けている限り、原則として持ち続ける。
ただし、減配になった銘柄や、純資産の増加が止まってしまったような銘柄は手放す。長期保有を基本としているが、保有銘柄が多いこともあり、見切り売りやそれに変わる新規銘柄の購入で売買は頻繁だ。
名古屋の長期投資家さんの年間配当受取額は01年から一度も減ることなく右肩上がりで増え続けている。21年は年260万円程度になる見込み。「当面の目標は年間配当受取額500万円。それまでは今の配当成長株への分散投資を続けるつもり」だという。
銘柄選びは株価水準が割安で、長期で付き合える財務内容であり、稼ぐ力があることを重視。加えて過去の配当の推移や配当性向で配当余力をチェックする。
「配当は多いに越したことはないが、企業にも成長してもらわないと将来の増配は期待できない。配当性向は50%程度が上限だとみている」。配当利回りの目安は3%以上。成長性が見込める場合は2.5%程度までは許容範囲だ。
足元の相場だと買いづらい雰囲気はあるが、探せば条件を満たす割安銘柄はあるという。「最初は含み損になるかもしれないが、長期的には報われそうな銘柄は今の地合いでも見つかる」
今、気になっている銘柄はアイホン、戸上電機製作所、日阪製作所など。いずれも財務も良いし業績も悪くない。株価も割安で長い目では配当の成長も期待できそうだとみている。「周囲の投資仲間に比べると投資成績は今ひとつ。ただ、自分の投資のモットーは生涯配当の最大化だ。日本たばこ産業(JT)やキヤノンといった銘柄に資金を全て振り向ければ手っ取り早く高配当を享受できるが、増配はあまり期待できない。生涯配当を最大化できるかも疑問。未来の高配当株を探して、じっくり投資する方が生涯配当最大化への近道ではないかと考えている」と話す。
(本間健司)
[日経マネー2021年10月号の記事を再構成]
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