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社外取締役の設置は株高の必要条件か
広木隆のザ・相場道

日経マネー連載
株式投資
日経マネー
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2021/7/14 2:00
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6月に、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が改訂された。3年ぶり2回目となる今回の改訂のポイントは幾つかあるが、ここで取り上げたいのは「取締役会等の責務」の項目だ。そこでは2022年4月に予定する東京証券取引所の市場再編で最上位の「プライム市場」銘柄について、独立社外取締役を3分の1以上選任することを求めている。しかし、社外取締役が多くてもガバナンスや経営が良くなるわけではないというのは東芝の例を見ても明らかだろう。

数字で確認してみたい。例えば、ROE(自己資本利益率)は企業の稼ぐ力を示すとされる指標だが、社外取締役が「3分の1以上」の要件を満たす企業が8.2%。3分の1未満の企業(8.2%)と比べて全く差がない。社外取締役の多さが経営や資本効率を高めることにつながる証拠は今のところ見当たらない。

ROEが変わらない一方、差が出たのはPBR(株価純資産倍率)だ。企業のROE、PBR、PER(株価収益率)の間には「PBR=PER×ROE」という恒等式(変数がどう変わろうと成立する等式)が存在する。ROEが一定ならば、PBRとPERは比例するため、社外取締役が多い企業はPERが高い。高PER銘柄は企業収益に比べ株高の傾向があることから、市場がプレミアムを付けて評価していることがうかがえる。

社外取締役比率が高い企業の株価はTOPIXを上回る

実際、株式市場で社外取締役比率の高い企業がどのようなパフォーマンスだったか検証を行ってみた。取締役会に占める社外取締役の比率ごとに、東証1部の上場企業(金融除く)を4つのグループに分類。過去5年の株価推移を調べると、東証株価指数(TOPIX)を明確に上回ったのは比率が最も高い第1グループだけだった。

直近の第1グループの社外取締役比率は50%を超えている。ほぼ3分の1に相当する第2グループのポートフォリオはTOPIX並みのパフォーマンスで、第3、第4グループはTOPIXを下回った。つまり社外取締役を入れるならば過半数にするなど思い切った改革こそが市場へのアピールとして機能するのであり、「3分の1以上」という単なる「数合わせ」は評価されにくいと言えそうだ。

前回のコーポレートガバナンス・コードの改訂で社外取締役を2人以上置くことが求められたこともあり、社外取締役を設置する企業数は増えている。20年時点で「3分の1以上」の要件を満たすのは、東証1部上場企業の6割程度だ。逆に言えば4割の企業は要件を満たしていないわけで、それらの企業の多くは今後、プライム市場への切符を懸けて人数を増やそうとするだろう。厳密に言えば、「3分の1以上」はコーポレートガバナンス・コードの要請であり、プライム市場の上場維持基準ではないが、プライム市場を目指す企業にとっては同じことだろう。

社外取締役比率の最も高い第1グループは明確にTOPIXを上回った。ROEが改善するわけでも、素晴らしい経営がなされるという証左があるわけでもないのに、投資家はなぜ評価しているのだろう。恐らく投資家も「数」ではなく「質」が大事なのは理解しているが、「まずは形式を整え、十分な『数』を集められないようでは『質』は伴わない」と考えているのだろう。従って第1グループのパフォーマンスは、「数」が足りない企業を振るい落とした、消去法の結果と言えそうだ。投資家は「社外取締役は十分条件ではないが必要条件」と捉えているのだろう。

社外取締役の質が良くても経営がうまいとは限らない

中には社外取締役は「数」より「質」が重要、という議論もあるが、実はそんな単純な話ではない。仮に取締役会のメンバーが「超優秀」な社外取締役だけで構成されている企業があったとして、果たしてその企業の経営はうまくいくだろうか? 答えはケース・バイ・ケースとしか言いようがない。

社内の経営者の能力が高く、あまり多角化されていない企業では社外取締役の必要性が低い場合がありそうだ。逆に、トップが年功序列で決まっているような大企業は「外部の目」を入れる必要性、すなわち社外取締役の必要性が高い。多角化企業も外部のアドバイザーが必要だろう。その企業によってふさわしい取締役会の構成、社外取締役の役割がある。社外取締役も「適材適所」で考えるべきだ。

広木隆(ひろき・たかし)

国内外の運用機関でファンドマネジャーなどを歴任。株式・為替からマクロ経済まで幅広い知見を基に自らヘッジファンドも立ち上げた。2010年からマネックス証券で顧客向けに情報を発信。バイサイド時代の経験から斬る相場分析や展望に定評がある。青山学院大学大学院(MBA)非常勤講師。

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