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年末相場に急落リスク 億万投資家はこう備える
持ち高調整でリスクを落とす 売買の事前シミュレーションも

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株式投資
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2021/11/4 5:00
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毎年11~12月は株式相場全体が上昇することが多く、投資家にとっては書き入れ時だ。ところが今年は例年とは異なり、相場全体の急落を警戒する声が多い。米国のテーパリング(量的緩和の縮小)開始前倒しと米長期金利の上昇、中国の不動産問題と景気悪化、供給制約による輸入物価の上昇など、株式相場にマイナスに働く不安材料が多いからだ。先行きの不透明感が増している足元の相場や急落のリスクに達人はどう対処しているのか。スゴ腕の個人投資家たちの対応策を探った。

「相場の先行きを予想しないことを信条にしているが、2018年と同じような急落が起きる可能性は意識している」

こう話すのは、40代の兼業投資家、みきまるさん(ハンドルネーム)だ。個人投資家の間で人気のある株主優待が付いた銘柄を購入して大きな値上がり益を狙う「優待バリュー(割安)株投資」と名付けた投資法を主に実践し、数億円に上る資産を築いた。

毎年11~12月は「掉尾(とうび)の一振」と呼ばれ、相場全体が上昇することが多い。直近で異例の下落相場となったのが18年だ。当時の米トランプ政権の下で米中貿易戦争が激化する中、米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の正常化と中国の景気悪化が同時に進行し、10~12月にかけて世界の相場が断続的に下落する波乱の展開となった。

今年も米中間のあつれきが強まる中、FRBによるテーパリング開始早期化と中国景気の悪化が引き金となり、9月下旬から10月上旬にかけて世界同時株安が起きた。こうした類似点から、18年終盤と同様の波乱を警戒する声が広がっている。

みきまるさんは18年の相場に強気で臨み、終盤の波乱相場で運用資産を大きく減らした。「年間の運用成績がTOPIX(東証株価指数)を下回った」と振り返る。その苦い経験を踏まえて、「相場が急落したら柔軟に対応し、ポジション(持ち高)を減らしたり、保有株を入れ替えたりする」と語る。

保有株の入れ替えでは、権利確定月に優待目当ての投資家の買いが集まって大きく上昇する傾向がある外国為替証拠金(FX)取引大手のヒロセ通商や、価格が割安で優待の人気が高い地方銀行の株を購入する考えだ。

投資のテーマを厳選して購入の対象も絞り込む

みきまるさんと同様に波乱相場への警戒を強めているスゴ腕投資家は少なくない。テクニカルアナリストで自分でも株の短期売買を手掛ける横山利香さんもその一人だ。

「自民党総裁選の直前の9月14日に付けた3万0670円10銭が今年の日経平均株価の最高値になる可能性が高いとみて、その時点で持ち高を減らし始め、運用資産に占める現金の割合を2~3割に引き上げている。いろいろと買いたい銘柄はあるが、投資のテーマを厳選して購入の対象を絞り込んでいる」と明かす。

「暴落の可能性を常に意識して、マーケットを注視している」。こう語るのは、兵庫県在住の40代の専業投資家、野比さん(ハンドルネーム)。テクニカル分析を駆使して好決算銘柄を短期売買する独自の手法で、数億円の資産を運用している。

「日経平均株価を左右しているのは時価総額の大きい大型株。売買代金ランキングで上位に入っている銘柄が場中に大きく売り込まれて、株価がボックス圏の下に抜けたら徐々に保有株を売却して取引を手じまい、現金を増やす」。野比さんは自身の対応をこう説明する。

今年9月中旬から10月上旬にかけて日本株相場が大きく調整した時にも、この対応を実践。売買代金ランキングの上位に入っていたレーザーテック日本郵船がほぼ同時に大きく売られ、株価がボックス圏の下に抜けたのを見て、手じまいに動いた。最も保有高の多かった日本郵船は急落の途中で売り切ったという。

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相場全体の急落は有望株を仕込む好機

一方で、持ち高を減らして現金を増やすほどまでには警戒を強めていないスゴ腕も少なくない。持ち高を減らしたら、例年通りの上昇相場になった場合に受けられる恩恵が小さくなってしまうからだ。ただし、急落が起きた時の対応策はしっかりと練っている。

例えば、50代の会社員投資家、奥山月仁さん(ハンドルネーム)。上場企業の管理職として多忙な中、割安な成長企業の株を中長期保有する投資法で数億円の資産を築いたスゴ腕だ。奥山さんは「相場全体の急落は、それに連れ安して価格が割安になった有望株を仕込むチャンスだ」と言い切る。

「有望株の購入資金は、保有株の中で自分自身の評価が最も低い銘柄の一部もしくは全部を売却して捻出する。そうするだけの時間が取れない場合は、運用資産の2割を上限として信用取引で買う」(奥山さん)

中小型の成長株を中心に200社を超える銘柄に分散投資して数億円の資産を運用する40代の専業投資家、DAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム)。このスゴ腕も「相場全体が急落したら、中小型株で、内需主体で景気に業績が左右されにくい事業を手掛けて業績が順調に拡大している企業の株を買い増す」という方針を示す。

追加購入の候補としては、住宅型有料老人ホームを運営するアンビスホールディングスや連結会計・連結決算用システムの開発・販売を柱とするアバントを挙げる。追加購入の資金は「土地などの保有資産に比べて価格が割安な資産バリュー株や大型のシクリカル(景気敏感)株を売却して捻出する」(DAIBOUCHOUさん)考えだ。「資産バリュー株は相場全体が急落しても、すぐには連れ安しない傾向がある。下落する前に売れることもある」と続ける。

一方、企業の新規株式公開(IPO)関連の投資を得意としている50代の会社員投資家、JACKさん(ハンドルネーム)。2億円を超える資産を運用するこのスゴ腕は、相場全体が急落したら、上場後に値上がりを期待して購入したIPO銘柄を手放し、配当利回りの高い銘柄や株主優待が人気の銘柄を購入する構えだ。

高配当株や人気優待株を購入するのは、相場が急落した後の配当や優待を目当てにした投資家の買いが集まって反発する傾向があるから。そうした銘柄の典型として、外食チェーンの日本マクドナルドホールディングスすかいらーくホールディングスを挙げる。

このように相場全体が急落した局面で売買する銘柄のタイプは、投資スタイルに応じて異なるものの、事前にどの銘柄を売ってどの銘柄を買うのかをシミュレートしてシナリオを描いている点でスゴ腕たちは共通している。年末相場が本格化する前に事前に保有株を見直して売買のシナリオを作っておく。そうすれば、実際に急落が起きた時にも落ち着いて対処できる可能性が高まるだろう。

(中野目純一)

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