日本の中央銀行。上場しているが、株式の取引量は少ない
日銀福岡支店は九州の半導体関連産業の現状と課題を分析したリポートをまとめた。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出によって国内外企業の進出や設備投資が増えており、九州経済の押し上げ要因となっていると指摘した。その上で、中長期的な発展には、人材確保や設計・製造企業の連携強化が必要だとした。
半導体産業における九州の強みとしては、豊富な水資源や電力の安定供給、関連産業の集積をあげた。九州には約1000社の半導体関連企業が集積し、生産額はICが9301億円(2022年)、半導体製造装置は3635億円(21年)になった。IC生産額が9000億円を超えたのは14年ぶりで、全国の44.3%を占めている。
九州で計画・実施されている半導体関連の設備投資額は、公表されている主なものだけで約1.5兆円にのぼるという。投資期間を3年と仮定すると1年あたり約5000億円が投じられる計算で、19年の九州の名目国内総生産(GDP)の1%にあたる。
先行きについては人工知能(AI)や高速通信規格「5G」、電気自動車(EV)などの市場の成長期待から、ロジック半導体や省電力化が可能なパワー半導体などの需要が一段と拡大していくとの見方が多いとした。
一方で労働力の不足が懸念されるため、中長期的な発展には関連分野への労働力供給や高度専門人材の育成が課題であると指摘した。
併せて、多様なニーズに対応するため設計・製造企業などの連携強化、需給調整局面でも将来に向けた研究開発などへの投資支援を今後の課題として挙げた。