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CPなどタイ食品大手が「植物肉」 価格抑え食感よく

日経産業新聞
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東南アジア
2021/6/21 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

タイのスーパーでは植物由来の「ひき肉」が並ぶ(バンコク)

タイのスーパーでは植物由来の「ひき肉」が並ぶ(バンコク)

【バンコク=岸本まりみ】タイが「植物肉元年」を迎えようとしている。最大財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループやツナ缶世界最大手のタイ・ユニオン・グループなど、食品大手が植物由来の材料で肉を再現した「植物肉」を発売した。健康・動物愛護志向の消費者が増えるなか、これまでは割高な輸入品が多かった。各社は手ごろな価格となじみやすい食感を売りに海外展開もにらむ。

ソーセージやガパオなど幅広く

CPグループの中核企業で食肉大手のCPフーズが5月、自社開発の植物肉ブランド「ミート・ゼロ」を発売した。植物肉を使ったソーセージやハンバーガー、ガパオ、チキンナゲットなど幅広い商品をそろえた。

「『肉抜き食品』の需要は急増しているが、値段が高く見つけるのも難しかった」。CPフーズのプラシット最高経営責任者(CEO)は植物肉ブランドの立ち上げに至った理由をこう語る。ミート・ゼロの価格は35~69バーツ(約120~240円)と「本物の肉を使うのと比較的近い水準」(同社)にまで抑えた。

「代替肉」欧米から広がる

牛や豚など動物を食肉処理した材料を使わない「代替肉」は、ベジタリアンの多い欧米から広がった。大豆やシイタケなど植物性の食品から作る「植物肉」のほか、細胞を培養する「培養肉」などがある。まずは比較的コストが安い植物肉の分野で先行して商品化が始まっている。

CPフーズはミート・ゼロの開発に2年を費やした。チュラロンコン大学などの食品科学者や、米国、日本、台湾の専門家らの協力を得て「本物の肉の食感やにおい、味を再現した」(同社)。

CPグループの総合力を生かし、幅広い販路も確保した。タイで1万2千店舗以上を構える傘下のコンビニエンスストア「セブンイレブン」や2020年に傘下に収めたスーパー「テスコ・ロータス」の店頭で一斉に展開する。

今後はアジアの周辺国や欧米でも売り出す計画だ。CPフーズは「22年にアジアで首位、26年に世界でトップ3の代替肉ブランドになることを目指す」としている。

タイ・ユニオンも小売りと連携

タイ・ユニオンも3月、自社開発の植物肉ブランド「OMGミート」を発売した。点心やカニシューマイ、肉まん、チキンナゲットなど品ぞろえは豊富だ。地元の小売り大手ザ・モール・グループと組み、同社系列の高級スーパーなどで販売する。売れ行きを踏まえてアジア各国に販路を広げ、年1億バーツ(約3億5千万円)の売上高を目指す。

タイは敬虔(けいけん)な仏教国で、誕生日が近づくと肉や魚を絶って身を清めたり、「ギンジェー」と呼ばれる中華系の菜食祭に参加したりする人は多い。さらに新型コロナウイルス禍で健康に気を使う人が増え、1週間のうち数日を野菜を中心とした食生活に切り替える「フレキシタリアン」が急増した。

香港のスタートアップ、グリーン・マンデーの植物肉「オムニミート」を使った点心

香港のスタートアップ、グリーン・マンデーの植物肉「オムニミート」を使った点心

環境や動物愛護意識の高まりも、植物肉の追い風になっている。CPなど大手の参入で手軽に植物肉が買えるようになり、タイのベジタリアンやフレキシタリアン人口が一気に増える可能性がある。

需要急増、スタートアップも続々

デュポンニュートリション&バイオサイエンスとイプソスが20年12月に公表した調査によると、タイと中国では向こう5年で植物肉の需要が200%増える見通し。アジア太平洋地域全体(25%増)に比べて伸びが大きい。

成長市場を狙い、国外スタートアップの進出も相次いでいる。香港発のグリーン・マンデーは5月、タイ小売り最大手セントラル・グループ系のスーパーなどで植物肉「オムニ・ミート」を発売した。マレーシアのフューチャー・フーズも20年にタイでコメやヒヨコ豆、シイタケなどを使った植物肉ミンチのオンライン販売を始めている。スタートアップや大企業が入り乱れシェア争いが熱を帯びる。

▼ESG評価の向上に一役
 タイの食品大手の「代替たんぱく質」開発への取り組みは、ESG(環境・社会・企業統治)投資に影響力を持つ持続可能性格付けの改善にもつながっている。
 世界の200以上の投資家が参加する英ファーム・アニマル・インベストメント・リスク・アンド・リターン(FAIRR)の格付けで、世界の畜水産大手60社中、CPフーズがアジアで最高の12位(中リスク)、タイ・ユニオンが14位(同)につける。
 項目別にみると、代替たんぱく質の開発状況などが考慮される「持続可能なたんぱく質」ではCPフーズ(30㌽)やタイ・ユニオン(25㌽)が評価を上げる。日本水産マルハニチロプリマハムはいずれも0㌽だ。日本勢は総合評価でも軒並み「高リスク」とされている。
FAIRRに加盟する投資家の運用資産は総額38兆㌦(約4100兆円)に達する。ESG投資の流れが強まるなか、市場の目は畜水産企業が提供する肉の「新たな選択肢」に注がれている。

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