【食用油大手】日清製油、リノール油脂、ニッコー製油が合併。
天候不順などがトウモロコシ価格の上昇に拍車をかけている(アルゼンチンの首都ブエノスアイレス郊外の農場)=ロイター
【ウィーン=細川倫太郎】世界の食料価格が急上昇している。国連が3日発表した5月の食料価格指数(2014~16年=100)は1年前から4割上昇し、2011年9月以来、約10年ぶりの高水準となった。中国で豚の飼料の需要が増えたほか、天候不順による供給減少も響いた。
食料価格指数は穀物や食肉、乳製品などの国際取引価格から算出される。世界の食料全体の値動きを示し、投資家や企業が注目する。国連食糧農業機関(FAO)によると、5月平均は前月比で5.8ポイント高い127.1。12カ月連続で上昇し、過去10年では最も速いペースで上がっている。
穀物が133.1と7ポイント超上昇した。トウモロコシや大豆、小麦は軒並み高騰する。中国が養豚拡大のため飼料用穀物の購入を増やしている。主要な産地である米国や南米では、不安定な天候から、収穫が一段と減るとの見方が強まる。
加工食品などに使う植物油も12.7ポイント高い174.7と値上がりが目立つ。消費量が最も多いパーム油は、主産地の東南アジアの生産量が伸び悩む。バイオディーゼルなど燃料の需要が膨らむとの期待もある。砂糖や食肉の価格も上昇が続く。
新型コロナウイルス禍による移動制限で農作業の担い手である外国人労働者が不足している国も多い。足元ではワクチンの普及で想定以上に需要が急回復し、生産が追いつかない。世界的な金融緩和マネーも向かう。
米食品大手ゼネラル・ミルズはシリアルを値上げする。食品世界最大手ネスレ(スイス)のシュナイダー最高経営責任者(CEO)は「今の環境は非常に不安定で、価格設定に対し行動をおこす」と語る。日本では日清オイリオグループも値上げを打ち出した。
新型コロナ禍で雇用や所得が打撃を受けた家計にとって痛手となる。賃金が上昇しないまま物価高が続けば、消費が足踏みする恐れもある。そうなれば企業収益も悪化する悪循環をまねく。