【航空大手】10年1月に破綻後、市場にスピード復帰。路線別採算管理を徹底。
超音速機はこれまでの旅客機の2倍の速度で運航する(ユナイテッド航空のホームページ)
【ニューヨーク=大島有美子】米ユナイテッド航空は3日、超音速機を開発する米航空機ベンチャー、ブーム・スーパーソニック(米コロラド州)から15機の超音速機を購入する契約を結んだと発表した。2029年の商用化を見込む。東京と米西海岸サンフランシスコ市を6時間で結ぶほか、持続可能な燃料(SAF)のみで運航され、50年までの脱炭素化の目標にも貢献するとみる。
購入額は明らかにしていない。ユナイテッドの安全基準を満たした上でまず15機を購入し、さらに35機の追加購入を見込む。
ブーム社が開発する超音速機は速度がマッハ1.7(音速の1.7倍)で、現状の航空機の2倍の速さという。現状で10時間前後かかるサンフランシスコー東京間を6時間で結ぶ。ニューヨーク近郊のニューアーク国際空港とロンドン間は7時間前後から3時間半に短縮される。
旅客収容人数は65~88人となる見通しだ。燃料はすべてSAFが使われ、実質排出ガスゼロを達成できるという。ユナイテッドは50年に二酸化炭素など温暖化ガスの排出量をゼロにする目標を掲げており、電動旅客機のベンチャーと提携するなど環境投資を拡大している。
ブーム社には日本航空(JAL)が17年に1000万ドル(発表当時11億円)を出資して提携、20機の機体の優先発注権を得ている。JALのほか、米空軍、ロールス・ロイスも提携している。ブーム社の航空機は退役した「コンコルド」に次ぐ超音速機になると期待されている。コンコルドは1970年代に就航し最高速度マッハ2を実現したが、燃費の悪さや騒音問題などで03年に引退した。