【投資持ち株会社】中国・アリババ集団などを保有。ファンド運用も。
ネイバーは検索を軸に多様なネットサービスを展開している
【ソウル=細川幸太郎】韓国ネット大手のネイバーは20日、カナダのウェブ小説サイト運営のワットパッド(Wattpad)を約6億㌦(620億円)で買収すると発表した。世界で9千万人の会員を抱える小説サイトを取り込み、自社のコンテンツ事業の幅を広げる。国内事業の成長鈍化を受け、M&A(合併・買収)を通じて海外開拓を急ぐ。
ワットパッドの既存株主から全株を取得して6月末をメドに買収を完了する。ネイバーは自社で事業を立ち上げる傾向が強く、これまでのM&Aは技術を取得するためにベンチャー企業を買収することが多かった。買収金額が1億㌦を超える案件は初めてとみられる。
ワットパッドは、世界の若手小説家などが積極的に作品を投稿することで知られる。優良コンテンツが出版社の目に留まって書籍や映画になる例も多い。ネイバーによると会員数は世界最大の9千万人。ネイバーが持つスマホ向け漫画配信サービス「ウェブトゥーン」との相乗効果が大きいと判断した。
ネイバーのウェブトゥーンは、縦方向にコマを配置してスマホ画面に適応した読みやすさが受け、世界で7200万人の利用者を獲得する。英語や中国語、日本語の作品も掲載しており、北米の会員は1000万人を超えるという。同事業運営は米国子会社に託してドラマ化や映画化、商標管理などの知的財産ビジネスをグローバルで展開している。
国内事業の成長余地が狭まるなかで、ネイバーはコンテンツ事業で海外展開を加速する。ウェブトゥーンのほか、K-POP人気を背景にライブ配信プラットフォームを運営。さらに子会社のLINEをZホールディングスと合併させることで、ソフトバンクグループが世界に持つ事業基盤を活用した自社サービスの展開も模索している。