【プリンター大手】半導体やプロジェクターも手掛ける。
4日の東京株式市場でセイコーエプソン株が続落し、一時、昨年末比58円(4%)安の1473円と約6週間ぶりの安値をつけた。同社は家庭用プリンターが主力。在宅需要の拡大をにらんで買いが続いてきたが、割高感が意識され始めた。午前に政府が緊急事態宣言の検討を発表したが、「巣ごもり」期待より利益確定の売りが上回った。
エプソンは在宅勤務向けなどのプリンター需要が底堅く、市場でも「事務機業界では相対的に優位」(岡三証券の島本隆司氏)との見方が強い。昨年12月9日には一時1684円をつけ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う急落前の水準(2月21日の1696円)にまで回復していた。
しかし今年1月4日時点の予想PER(株価収益率)は64倍で、同じく家庭内プリンターを手掛けるキヤノン(38倍)と比べても割高感が強くなっている。東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは「業績の回復期待が先行し、株価が戻し過ぎていた」と指摘する。当面は修正局面が続きそうだ。
主力工場のあるインドネシアで新型コロナの感染者数が増えていることも懸念材料で、昨年9月には工場内で感染者が出て約2週間の臨時休業となった。分散生産も進めているが「感染拡大が続けば供給不足のリスクも再度高まる」(国内証券)との声も出ている。