【全国3位の大手】中部財界の雄。電力、ガスなど本業に注力。
ソニーは24日、自社工場に敷地外でつくった太陽光電力を供給する取り組みを4月から始めると発表した。愛知県にある牛舎に太陽光パネルを設置し、発電した電力を約30キロメートル離れた拠点で使う。年間で約192トンの二酸化炭素が削減できるという。環境負荷が小さい再生可能エネルギーの導入を拡大し、世界で広がる脱炭素の動きに対応する。
ソニーが自己託送の仕組みを導入する幸田サイト(愛知県額田郡)
電力を融通する「自己託送」と呼ばれる仕組みを活用する。外部の牛舎の屋根に約1000枚の太陽光パネルを設置し、電力会社の送配電網を使って愛知県額田郡の工場に供給する。年間で全体の1%の電力をまかなう見通しだ。残りの電力は中部電力から調達する。
ソニーは今回の自己託送の導入にあたり、太陽光発電の企画や運営を手掛けるFD(愛知県刈谷市)とスタートアップのデジタルグリッド(東京・千代田)の2社と連携する。FDは設備の設置や施工、所有を担う。デジタルグリッドは天候に応じた発電量の予測など技術面で協力する。
ソニーは敷地外の牛舎に設置した太陽光パネルで発電した電力を工場に供給する
ソニーが自己託送の仕組みを使うのは2カ所目となる。同社は2020年2月から静岡県焼津市にあるソニー・ミュージックソリューションズの拠点で自己託送を活用し、太陽光パネルで発電した電力を融通する取り組みを始めた。この拠点では年間で約1000トンの二酸化炭素を削減している。
ソニーは事業に必要な電力を100%再生エネでまかなうことをめざす国際的な企業連合「RE100」に加盟している。電力使用量に占める再エネ比率は19年度に5%だったが、40年度までに100%にする目標を掲げている。30年度には30%という中期目標も掲げており、段階的に再エネ100%の実現をめざしたい考えだ。(清水孝輔)