【感染症薬主力】抗HIV薬など感染症薬開発を強化。
ペプチド医薬品の開発システムを搭載した装置(川崎市の装置メーカー、テカンジャパン提供)
ペプチドリームは17日、独自の創薬開発基盤の利用に関するライセンス契約を大塚ホールディングス傘下の大鵬薬品工業と結んだと発表した。契約により、大鵬薬品は新薬候補となる「ペプチド化合物」の探索を効率よく進められるようになる見通しだ。ライセンス料は非公表で、ペプチドリームは開発の進捗に応じた収入や発売後の売上高に応じた一時金を受け取る可能性がある。
ペプチド医薬品は「中分子医薬品」の一種で、一般的な低分子医薬品に比べて疾患をより高精度で狙うことができ、副作用が少ないとされる。一方、抗体医薬など分子量の大きい高分子医薬品よりも安価で効率的に作ることができ、様々な新薬につながると期待する見方がある。
ペプチド医薬品の創薬に際しては多くの種類の化合物を合成し、疾患の原因となる物質に強く結合するものを探す必要がある。ペプチドリームは数兆種類の化合物を作り、結合するかを確かめる技術を持つ。これまでも塩野義製薬など7社に技術供与してきた。
2020年夏には新薬候補となる化合物を探す工程を自動化できるシステムを完成し、人が取り組む場合よりも時間を短縮して精度を高められた。新しい自動化システムも含めた技術供与先は、大鵬薬品が初めてという。
大鵬薬品はがん領域に強みを持ち、抗がん剤「ロンサーフ」などを展開している。これまでは低分子医薬品を主力としてきたが、ペプチドリームの技術を使いペプチド医薬品の創薬にも力を入れるとみられる。