メニューを閉じる
2021年6月20日(日)
8031 : 総合商社 日経平均採用 JPX日経400採用

【名門商社】三井グループの中核。金属資源、化学などに強い。海外収益に厚み。

現在値(--:--):
--
前日比:
--(--%)

三井物産、自ら起業 物流DX浸透へ従来モデル改め
商社進化論 第7部 新興企業と駆ける(2)

2021/4/27 2:00
保存
共有
印刷
その他

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

三井物産が物流ロボットを月額利用で提供するスタートアップを自社主導で立ち上げた。産業界の課題を解決するデジタルトランスフォーメーション(DX)を物流業界で広げるためには、自ら起業し主体的に経営しなければ業界の変化に対応できないためだ。少額出資や社内起業など黒子に徹していた商社の従来モデルを改め、前面に出る。

4月上旬、東京都品川区の大型倉庫の一角。お掃除ロボットのような黄色い機械が10台ほど縦横無尽に動いていた。商品を載せると配送先ごとに区分けした場所まで走り箱に投入する。物流倉庫の「仕分け」と呼ばれる業務を人の代わりにロボットが担う。

物流の人手不足が共通課題

ここは物流ロボットを定額課金(サブスクリプション)で提供するプラスオートメーション(東京・港)のR&D施設で、国内外から物流に特化したロボットを集め、企業との導入実証も実施する。

同社は2019年6月に三井物産と物流不動産大手の日本GLP(東京・港)が共同出資して設立したスタートアップだ。20年には豊田自動織機が出資し加わった。豊田自動織機はフォークリフトの世界シェアがトップで物流自動化などの実績がある。物産も自社倉庫の自動化を検討しており協業に至った。業界共通の課題である人手不足やデジタル対応の解決を目指す。

物産が目を付けたのは「RaaS(ロボット・アズ・ア・サービス、ラース)」と呼ばれるブルーオーシャンだ。

物流のサブスクに商機

物流施設にロボットを貸し出し、導入から運営、保守までを提供し、クラウド上でロボットを管理する。

物流施設やメーカーなど顧客企業は必要な台数を使い料金を支払う。ロボットそのものの開発を手掛ける新興企業は世界中にあるが、ラースを提供する企業は珍しい。

物産は旧三井物産の創業から145年たつが長年、三菱商事と共に「資源商社」と呼ばれる。エネルギーや資源に偏る事業モデルからの転換を目指し、ITやヘルスケア関連企業の経営に深く関与する志向を強めている。

自動搬送ロボなどはクラウドで管理する

自動搬送ロボなどはクラウドで管理する

1つの武器がDXだ。物流のように課題を解決したいが、技術やノウハウを持たない企業も多い。こうした企業をDXで支援する。物産は自社で物流倉庫を保有しており、DXと自社の資産をまとめて提供するといったビジネスの広がりが期待できる。

生産性は2割向上

一から起業したのは「ラースを本格的に展開している企業が日本にはなかった」(三井物産の菊地原伸一・コーポレートディベロップメント本部長)ためだ。物流施設にとっては、ベルトコンベヤーなど大型の自動化設備を入れるより資産効率が上がる。配置や走行ルートを柔軟に変更したり、繁閑に応じてロボット数を調整できるのも利点だ。

プラスオート社の主力製品の仕分けロボットは、中国のリービャオ・ロボット(浙江省)の製品だ。ぶつからず正確に走行する頭脳部分はリービャオの技術だが、約1000台のロボットをクラウド上で管理し、多様な現場に応じて制御するシステムはプラスオート社が自社で開発した。

導入は徐々に広がっている。埼玉県川越市の物流センター。20年末の実証では書籍の仕分けをリービャオ製のロボットが担った。走行する土台の配置は1日で終わり、運用を即座に開始。短期間の訓練を受ければ直感的なパソコン操作でシステムを動かすことができる。想定外の故障などトラブルがある場合はプラスオート社が遠隔で対応する。

ロボットの制御システムはプラスオート社自社開発した

ロボットの制御システムはプラスオート社自社開発した

ロボット導入で1人あたりの生産性は1時間351冊と従来の2倍に向上し仕分けミスもゼロになった。これまでは人が動いて配送先ごとの段ボールに分けていたが、本をロボットの受け皿に載せるだけですむため、大幅な省力化にもつながる。別拠点では保管場所からの商品運搬などでも自動化を検討する。

商社の運用管理機能生かす

仕分けロボットはコンサル料を含めて1台月5万~10万円程度で導入できる。会社設立から1年半で20カ所の物流センターで採用され、最大300台を導入する例もある。

サブスクは音楽や動画、服や家具などに広がっている。一方で、ソフトとハード両方が必要になる法人向けロボットは難易度が高い。物流施設によってレイアウトや導線、扱う商品など事情は大きく異なるためだ。特に日本の物流業界は荷主の要望をきめ細かく反映させた個別最適化がすすんでいることもあり、デジタル化が遅れがちだった。

サブスク用の大量のロボットを管理するには、コストや運営ノウハウが必要だ。物産はそこでスタートアップにはない資本力を生かせるとみる。ロボット技術を国内外で発掘した上で持ち込み、運用管理する商社機能を発揮する。物流施設に入居する顧客の開拓は日本GLPが、エンジニアリングは豊田織機が担う。

プラスオート社は、物産という大企業が設立した会社だがスタートアップの形をとり、成長段階に応じて資金調達してきた。現在は成長初期から中期にあたる「シリーズB」の調達を終えたところで、規模拡大の段階に入る。

海外展開も視野

21年度中にも導入する施設数を倍増させ、将来的には海外展開も視野に入れる。通常の共同出資会社や緩やかな提携とは異なり、「株主3社のリソースを最大限に活用できる枠組み」(飯間卓・プラスオートメーション社長)で新領域を開拓する。クラウドにつながるロボットが増えるなかで、効率良く貸し出して運用できるようにするためのデータ活用が今後の課題だ。

物産は新ビジネスを見つけるため、国内外のスタートアップとの連携を広げている。18年にはイスラエルに独自技術を持つ企業を発掘する拠点を設けた。自動車の運転支援システムを手掛ける新興企業に出資し、日本企業との協業を仲介するほか、最先端の技術を早い段階で掘り起こす。

ヘルスケアやデジタル化への対応など成長領域に注力し、23年度の純利益に占める非資源事業の割合を現在の4割から6割に高める方針だ。市況や景気に左右されやすい資源の浮き沈みに絶えず悩まされてきた時代と決別するためには、「自社起業」の種まきを絶えず続けるしかない。

(薬文江)

日経産業新聞の記事一覧へ

【関連記事】
有望スタートアップはDX関連 投資先の選別進む
伊藤忠、脱炭素でスタートアップ連携 AI管理の蓄電池
アルムが56億円調達、三井物産と海外遠隔医療

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ日経会社情報デジタルトップ

ニュース(最新)  ※ニュースには当該企業と関連のない記事が含まれている場合があります。

533件中 1 - 25件

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6...
  • 次へ
【ご注意】
・株価および株価指標データはQUICK提供です。
・各項目の定義についてはこちらからご覧ください。

便利ツール

銘柄フォルダ

保有している株式、投資信託、現預金を5フォルダに分けて登録しておくことで、効率よく資産管理ができます。

スマートチャートプラス

個別銘柄のニュースや適時開示を株価チャートと併せて閲覧できます。ボリンジャーバンドなどテクニカル指標も充実。

日経平均採用銘柄一覧

日経平均株価、JPX日経インデックス400などの指数に採用されている銘柄の株価を業種ごとに一覧で確認できます。

スケジュール

上場企業の決算発表日程や株主総会の日程を事前に確認することができます。

株主優待検索

企業名や証券コード以外にも優待の種類やキーワードで検索できます。よく見られている優待情報も確認できます。

銘柄比較ツール

気になる銘柄を並べて株価の推移や株価指標(予想PER、PBR、予想配当利回りなど)を一覧で比較できます。

  • QUICK Money World