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前途多難な原発新増設 英仏は再生エネ重視変わらず
Earth新潮流

日経産業新聞
安藤 淳
カーボンゼロ
コラム
環境エネ・素材
2022/9/5 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Earth新潮流

フランスは最大14基の原発を建設する(2021年10月、シボー原発)=ロイター

フランスは最大14基の原発を建設する(2021年10月、シボー原発)=ロイター

岸田文雄首相はエネルギー政策を転換し、原子力発電所の新増設の検討を表明した。建設を推進する英国やフランスと足並みをそろえた。だが、両国は原発を最優先しているわけではなく、再生可能エネルギーを補う位置づけだ。これまでの原発計画も曲折が続いており、前途は多難だ。

英政府は4月に「エネルギー安全保障戦略」を発表した。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰や、需給逼迫リスクの増大に対処するためだ。

最初に掲げたのは省エネで、北海の石油・天然ガス開発、再生可能エネルギーの利用拡大計画と続き、その後に原子力や水素エネルギー戦略が出てくる。再生エネの発電割合は現状の40%から、さらに上積みを目指す。

■風力発電のサウジ

特に重視しているのは洋上風力だ。1100万キロワットある出力を、30年に5000万キロワットまで増やす。従来計画より1000万キロワット多い。このうち浮体式が500万キロワットだ。北海油田の開発で培った海底工事技術などを生かせるとしている。

産油国のサウジアラビアになぞらえ「風力発電のサウジになる」とした。太陽光も増やし、現在の1400万キロワットを35年には5倍にする。

原発は直近の出力合計が650万キロワットで、発電比率は約15%だ。50年までに8基を建設して2400万キロワットとし、比率を25%に高める。

英国の原子炉は老朽化が進み、多くが更新期を迎える。世界原子力協会の調べでは稼働中は9基ある。8基が28年までに廃止予定だ。1基は運転期間を当初予定の40年から60年に延長し、55年まで続ける検討に入った。一定比率を確保するには増設が不可欠だ。

現行の軽水炉よりも安全性や操作性を高めたタイプで、先行例もある欧州加圧水型軽水炉(EPR)を中心に建設する見通しだ。日本の経済産業省の分類では「革新軽水炉」に含まれる。次世代炉の一つとして注目される小型モジュール炉(SMR)も計画する。

■仏は再生エネ倍増

フランスのマクロン大統領も2月にエネルギー戦略を発表し、省エネを強く呼びかけた。再生エネは「電力需要の増大に直ちに応えられる唯一のエネルギー源」と位置づけ、30年までに発電量を倍増すると表明した。

長期的には、50年までに太陽光発電の出力を現在の10倍近い1億キロワット以上とする。洋上風力発電を50カ所以上で展開し、出力を4000万キロワットに高める。従来の想定よりペースを速める。

そのうえで原発を増やす。56基ある原子炉すべてについて、40年としていた運転期間を10年を超えて延ばせないか検討する。新設はまず6基を計画し、さらに8基の追加の可能性を探る。50年までに2500万キロワット分を増やす。

EPRの改良版であるEPR2の建設を予定するが、SMRなども候補となる。原発への新規投資凍結から推進へと政策転換するにあたり、「国民の広い同意を得る必要がある」として、22年後半に議論の場を設ける。

フランスでは使用済み核燃料の地層処分候補地が北東部ミューズ、オートマルヌ両県にまたがる地点に絞られ、20年来の課題が解決に近づいた。「原発の建設推進にとってプラス材料の一つになった」とフランス原子力・代替エネルギー庁のゴルグ長官付上級技術顧問はみる。

原発の建設や運営を巡っては英国、フランスとも困難を経験してきた。英国は中部アングルシー島に2基の建設を計画したが、事業主体の日立製作所がコスト増大で採算が合わなくなったなどとして撤退し頓挫した。

フランスは北西部フラマンビルに最初のEPR建設をめざし、07年に着工した。12年にも完成の予定だったが機器の不具合や技術的な問題で遅れを繰り返し、いまだに完成していない。

費用は当初計画の4倍近い約130億ユーロ(約1兆8000億円)に達しそうだ。「フラマンビル」は物事がうまくいかないことの代名詞のようになった。政府は事業主体のフランス電力会社(EDF)を国有化するという大胆な手を打つ。

■最後のタイミング

日本原子力産業協会の調べでは、前の原子炉の建設工事から間があくほど次の炉の建設に時間がかかる。技術の承継や人材育成が滞るからだ。フランスでは93年のシボー原発2号機着工からフラマンビルのEPR着工まで14年以上だった。

日本で最後に本格的な建設工事を始めたのはJパワー大間原発の08年で、既に14年以上前だ。東京都市大学の高木直行教授は「過去に建設に従事した人が、次の世代に技術を渡せる最後のタイミングだ」と指摘する。

新増設は工事期間が延び、コストが予定を上回る事態も想定される。稼働開始は30年代後半~40年代初めだろう。高温ガス炉などまったく新しい次世代炉は、さらに難航する可能性もある。

運転期間を終えて廃炉となる原子炉も増えるので、40年前後に電力需給がかなり厳しくなる時期があるかもしれない。再生エネを全力で増やさなければならない事情は、原発の新増設によっても何ら変わらない。

(編集委員 安藤淳)

[日経産業新聞2022年9月2日付]

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