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脱炭素下の逆張りに勝算は 中東・ロシアの石油ガス投資
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オピニオン
2021/12/27 4:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞 日経産業新聞 Earth新潮流

カタールは3兆円超を投じてLNG生産能力を大幅に引き上げる(カタールガスオペレーティングカンパニー提供)

カタールは3兆円超を投じてLNG生産能力を大幅に引き上げる(カタールガスオペレーティングカンパニー提供)

油田や天然ガス田の開発投資が減っている。ただ、脱炭素の潮流を受けて欧米企業が投資を控える一方、中東やロシアでは動き出した大型プロジェクトがある。この時流の下で巨額投資に勝算はあるのか。

■21年最大の投資案件

2021年最大の石油・ガス投資は、カタールが着手した液化天然ガス(LNG)の増産プロジェクトだ。カタール国営のカタールエナジー(カタールペトロリアムが社名変更)は2月、287億ドル(約3兆2000億円)を投じて年間7700万トンの生産量をまず4割増の1億1000万トンに、さらに27年をめどに1億2600万トンへ引き上げることを決めた。

日本エネルギー経済研究所によれば20年のLNG需要は約3億6000万トン。カタールの増産量はこの14%に相当する。世界最大級の能力を持つ液化施設を6系列増設し、そのうち4系列を千代田化工建設などの連合に発注した。残る2系列の商談も進む。

ロシア国営のガスプロムを中心とする企業連合は9月、独リンデなどの連合との間でLNGプラントの設計・調達・建設契約を締結した。バルト海沿岸のレニングラード州ウストルガに年間1300万トンのLNG生産設備を建設し、26年の生産開始を見込む。

三菱重工業が液化の心臓部に使うガスタービン4基と圧縮機10台を供給する。完成すれば極東のサハリン2、ヤマル半島など北極圏に次ぐロシアで3カ所目のLNG事業となり、欧州に近いロシア西部で初の本格生産拠点となる。

資金調達など不透明な部分も残る。しかしロシアは天然ガスの最大の輸出先である欧州と、ウクライナ情勢などをめぐり政治的な対立を抱える。バルト海にLNG生産・出荷設備があれば、仮に米欧の制裁などによりパイプライン経由の輸出が難しくなってもガスの販路を維持できる。

■市場支配力を高める

カタールとロシアに共通するのは、市場支配力を高める戦略だ。

欧州での天然ガス不足を起点に、アジアでもLNGのスポット取引価格は歴史的な高値をつけた。しかし、わずか1年半前には供給過剰のために、スポット価格が天然ガスの生産原価すら割り込む安値に落ち込んでいた。

世界で建設・準備中のプラントが完工すれば、26、27年ころまでに1億トン以上のLNGが新たに市場に流入する見通しだ。短期の需給逼迫は解消し、足元の高値は落ち着くかもしれない。

ただし、その先を見据えると、供給不安は常態化する懸念がある。投資が続く見通しが立たないからだ。

国際エネルギー機関(IEA)によれば、油田やガス田開発などの上流投資は20年までの6年で半減した。21年にカタール以外に新たな最終投資決定に踏み切ったプロジェクトはオーストラリアの1件。化石燃料投資に投資家や金融機関の厳しい目が向けられる状況下で、今後は一段と難しくなるだろう。

■移行期のエネルギー

LNG開発は投資額が大きく、生産開始までに時間がかかる。石炭や石油に比べて温暖化ガスの排出量が少ない天然ガスは移行期のエネルギーとして役割は続く。需要が減少に転じてもいきなりゼロにはならない。カーボンゼロに着地するまで数十年間は一定の供給力が必要となる。

カタールやロシアは天然ガスの潤沢な埋蔵量とコスト面での圧倒的な競争力を武器に、移行期の市場で主導権を握ろうとしている。

石油も構図は同じだ。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、新型コロナウイルス禍で減らした上流投資をコロナ禍前の水準に戻しつつある。アミン・ナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は「アラムコは日量1200万バレルの生産量を、27年に1300万バレルに引き上げる」と語った。

アラブ首長国連邦(UAE)は現在約400万バレルの生産量を30年までに500万バレルへ高める。

■首都直下の大油田

UAEのアブダビ国営石油会社とINPEXは14日、陸上鉱区「ブロック4」で実施した試掘で油層を確認したと発表した。油田開発では原始埋蔵量が5億バレルを超えれば大型とされる。ブロック4は天然ガスやコンデンセートを合わせて10億バレルが見込まれる。

探鉱鉱区はアブダビ国営石油が実施した入札でINPEXが獲得した。首都アブダビから隣接するドバイ首長国との境界まで約6116平方キロメートル。高層ビルが林立する首都真下の大油田だ。

関係者によれば、さらに数本の試掘井を掘ったうえで、20年代半ばの商業生産を目指す。UAEの能力増強だけでなく、日本の権益原油の積み増しにもつながる。

■次世代燃料でも優位に

英BPは石油・ガス生産量を30年までに100万バレル減らす。化石燃料を減らし、再生可能エネルギー投資へ急旋回する欧米メジャー(国際石油資本)と、中東やロシアとの際立つ違いはどこから来るのか。

自国に眠る石油・ガス資源が存在していても価値を生まない「座礁資産」になる前に、価値の最大化を急ぎたい。その思惑は否定できないだろう。同時に、石油・ガス資源を次世代燃料市場で優位に立つために生かそうとの動機も見過ごすことはできない。

アブダビ国営石油は11月、三井物産、韓国のGSエナジーとアブダビ西方のルワイスで、アンモニア燃料を生産することで基本合意した。天然ガスを原料に年間100万トンの生産を計画、25年ころの操業開始を目指す。

アブダビ国営石油、三井物産、GSエナジーはアンモニア燃料の生産で協力する(アブダビ国営石油のホームページから)

アブダビ国営石油、三井物産、GSエナジーはアンモニア燃料の生産で協力する(アブダビ国営石油のホームページから)

アブダビ国営石油はほかにも、BPや独シーメンス、INPEXなどの日本連合とそれぞれ、水素やアンモニア、再生エネの開発に取り組む。国営石油の最高経営責任者(CEO)を兼ねるスルタン・ジャベル産業・先端技術相は「パートナーと緊密に協力し、水素・アンモニア燃料の市場を開拓する」と語った。

サウジのアブドルアジズ・エネルギー相も「サウジは最大の水素生産国になる」と意欲を示す。11月に開発に着手した東部のジャフラ・ガス田で産出する天然ガスを使って水素やアンモニアを生産する計画だ。

化石燃料投資の低迷が脱炭素への移行にリスクとなりかねないなかで、産油国は逆張り投資に活路を見いだそうとしている。

(編集委員 松尾博文)

[日経産業新聞2021年12月24日付]

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