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再エネや移行資金 投融資で支援 田代桂子・大和証券グループ本社副社長
脱炭素社会 創る

カーボンゼロ
NIKKEI脱炭素プロジェクト
2023/3/27 22:00
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大和証券グループ本社は2030年までの温暖化ガス排出量実質ゼロ、50年までの投融資先の排出量実質ゼロを目標に掲げる。洋上風力発電など再生可能エネルギーへの投資に加え、トランジションファイナンス(移行金融)やファンドを通じて、低炭素・脱炭素を推進するための資金を循環させる。田代桂子副社長は「脱炭素社会の実現に貢献することは財務的な利益に結びつく」と脱炭素でも先頭を走る考えだ。

たしろ・けいこ 1986年早大政経卒、大和証券入社。91年米スタンフォード大経営学修士。2011年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。19年から現職。

たしろ・けいこ 1986年早大政経卒、大和証券入社。91年米スタンフォード大経営学修士。2011年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。19年から現職。

英国の洋上風力に数百億円

子会社の大和エナジー・インフラ(東京・千代田)が英国の洋上風力発電所「ホーンシー1」に投資すると3月10日に発表した。デンマークの洋上風力世界最大手のオーステッドがヨークシャー沖で19年に稼働させた発電所だ。風車174基が立ち並び、出力は1.2ギガ(ギガは10億)ワットと原子力発電所1.2基分に相当する。英インフラファンドから一部持ち分を取得する。他の投資家との関係から詳しく言えないが、投資額は数百億円規模になる。洋上風力への投資は初めてだ。

投資から得られるリターンのみならず、大規模プロジェクトに関わることによって投資家としてノウハウを学び、蓄積することができる。日本でも19年に施行された「再エネ海域利用法」によって大規模な洋上風力プロジェクトが今後増えてくる。洋上風力で先行する欧州のノウハウを活用できる。

これとは別に、みずほ銀行、みずほリースとともに英スコットランド北部の陸上風力発電所の開発プロジェクトに投資したと3月6日に発表した。計9基の風車(出力50メガワット)を設置し、25年後半に商業運転を始める予定だ。

ESG金融で市場拡大

再エネの導入を拡大し、脱炭素社会の実現に貢献することは財務的な利益に結びつく。サステナブル(持続可能)であるためにはもちろん収益への貢献がなければならない。

当社や子会社の大和証券はESG(環境・社会・企業統治)ファイナンスのトップランナーとして市場拡大に努めてきた。22年には日本航空(JAL)が3月に発行した航空業界初のトランジションボンド(総額100億円)の事務主幹事とストラクチャリング・エージェントを務めた。

住友商事のグリーンボンド(同200億円)や住友金属鉱山のグリーンボンド(同150億円)、東邦ガスのトランジションボンド(同100億円)でもJAL債と同様の役割を果たした。東京都のグリーンボンドでは30年債(150億円)の主幹事を務めた。

SDGs(国連の持続可能な開発目標)債を発行する業種が広がっている。日本ではトランジションファイナンスに関する指針が21年に策定されたことも一つの要因だ。SDGs債は第三者認証を得なければならないなどひと手間かかるものの、発行した方がよいと判断する企業や自治体は増えている。発行のお手伝いをすることで一緒にSDGsの実現に取り組みたい。

当社はカーボンニュートラル宣言を21年に発表した。30年までの自社の温暖化ガス排出量(スコープ1、2)ネットゼロ、50年までの投融資ポートフォリオの排出量等(スコープ3)のネットゼロを目標に掲げた。21年度の自社排出量は1万9744トン。本社ビルの再エネへの切り替えなどで、基準となる13年度に比べ44.4%削減した。

22年10月には大和総研のメインデータセンターで使う電力を大和エナジー・インフラが所有する再エネ発電設備由来の環境価値が付与された電力に切り替えた。23年度までに国内の自社物件はすべて再エネに替え、30年までに賃借物件を含む全体でネットゼロを目指している。

気候対応で先進企業に

様々な取り組みが実り、22年12月にニューヨーク証券取引所に上場する金融サービス企業、米MSCIのESG格付け評価において最上位のトリプルA(AAA)を初めて獲得した。特に「環境に配慮したファイナンス」「責任投資」「企業行動」の3項目で高い評価を得た。また、国際環境非営利団体のCDPから気候変動対応における世界の先進企業として、最高評価の「Aリスト企業」に初めて選定された。こうした外部評価のハードルは高くなってきている。投資家と企業をつなぐ証券会社として、脱炭素社会の実現に積極的に取り組んでいきたい。

先行する欧州のノウハウを生かす(英ホーンシー1洋上風力発電所)

先行する欧州のノウハウを生かす(英ホーンシー1洋上風力発電所)

アジアがフロンティア 欧州企業と連携


 大和エナジー・インフラは2018年に設立した戦略子会社だ。太陽光発電を中心に国内の再エネへの投資を手がけてきたが、海外やインフラ分野に投資領域を広げている。22年3月末時点の投融資残高は約1300億円。23年度末に2000億円、中長期で3000億円に増やす目標だ。

 リスクマネーを再エネ分野に自ら供給し、投資ノウハウを蓄積。運用ノウハウを得て、インカムゲインを拡大する。そのうえで投資家に金融商品として販売したり物件を売却したりする 「キャピタル・リサイクリングモデル」と呼ぶ資金循環の確立を目指している。20年、21年には国内に保有するメガソーラー(大規模太陽光発電所)を対象としたファンドを組成し、年金基金や生命保険会社など機関投資家に投資機会を提供した。調達した資金は再エネ分野に再投資する。
 再エネ分野では19年10月にオランダのM&A(合併・買収)助言会社のグリーン・ジラフ・アドバイザリーに子会社を通じて50%出資した。同年12月には大和エナジー・インフラが再エネ分野の投資・運用を手がける独アキラ・キャピタル・ホールディングの株式を40%取得し、資本業務提携を結んだ。大和証券グループ本社の田代桂子副社長は「両社とも再エネ分野でアジアが次のフロンティアと見込んでいる。連携は非常にうまくいっており、ノウハウを吸収できる」と話す。
 一方、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰が世界を揺さぶった。米国では22年8月に歳出・歳入法(インフレ抑制法=IRA)が成立し、再エネなど気候変動対策に10年間で3690億ドル(約49兆円)を投じる。税控除などで自国内生産を優遇し、低炭素を推し進め、エネルギー安全保障を確保する。欧州も対抗して企業に対する補助金ルールを緩和する見通しだ。「産業界の実態と脱炭素のルールづくりをしている欧州議会が近づくきっかけになった」とみる。
 日本では政府が23年度から10年間発行する新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」で20兆円規模を調達し、企業の脱炭素投資の支援に充てる。官民合わせた投資は150兆円超が見込まれる。脱炭素は巨大なマーケットを生み出す。「金融機関として日本、世界でやらなければならないことは多い」。非財務情報の開示義務化などをにらみ、移行支援に向けた準備を着々と進める。
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