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公平・公正な脱炭素実現へ 社会、経済、産業の転換を
NIKKEI脱炭素プロジェクト 第1回シンポジウム

カーボンゼロ
NIKKEI脱炭素プロジェクト
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2021/11/18 22:00
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日本経済新聞社はNIKKEI脱炭素プロジェクトの第1回シンポジウムを10月にオンライン形式で開いた。二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを2050年に実現するため、どのような道筋を描くべきか。プロジェクトでは委員会(高村ゆかり委員長)が中心となり、公平・公正な脱炭素社会に向けて社会、経済、産業の転換を進めるべきとの中間宣言をまとめた。参画企業のトップらは自社の戦略や取り組みについて会場から発信した。

投融資ポートフォリオの脱炭素化めざす オープニング

東京大学未来ビジョン研究センター教授/NIKKEI脱炭素委員会委員長の高村ゆかり氏(左)と高崎経済大学学長/NIKKEI脱炭素委員会委員の水口剛氏(東京都千代田区の日経ホール)

東京大学未来ビジョン研究センター教授/NIKKEI脱炭素委員会委員長の高村ゆかり氏(左)と高崎経済大学学長/NIKKEI脱炭素委員会委員の水口剛氏(東京都千代田区の日経ホール)

高村 NIKKEI脱炭素プロジェクトでは9人の委員、13社の参画企業(シンポジウム開催時点)、ユース団体とともにカーボンニュートラルの実現に向けた議論を重ねてきた。とりまとめた中間宣言(10月19日付日本経済新聞朝刊掲載)について概要を紹介したい。

自然と調和した持続可能な地球を次の世代に引き継いでいきたい。一人ひとりの人権が尊重され、幸せを実感できる公平・公正でサステナブルな脱炭素社会、これを一つの大きなビジョンとして取り組む。社会、経済、産業の転換が必要になるが、取り残される人や地域が生まれない公正な移行をめざす。

水口 金融分科会をつくり、議論してきた。金融は経済を動かす大きな仕組みの一つ。金融を変えることで脱炭素社会を実現できる。そのために金融行政や開示制度を変えていく必要もある。

2050年までに投融資ポートフォリオの脱炭素化をめざす。革新的な技術に長期的な視野を持った投資と、今すぐ実現できる技術を大規模に導入するための投資。その両方が必要だ。不確実性の高い投資は民間だけでは限界がある。若者団体からは、世代間や地域間の公平性に配慮すべきだとの意見もあった。

新たな価値創造の機会に サントリーホールディングス社長 新浪剛史氏

新浪氏(リモート参加)

新浪氏(リモート参加)

グローバルな飲料メーカーとして水、プラスチックとともに気候変動を重点項目と考えている。2050年までに世界で使う水と同じ量の水を工場周辺の水源涵養(かんよう)林で育むことを目標に据えた。ペットボトルなど包装容器は30年までに化石由来の原材料をなくし、リサイクル素材あるいは植物由来素材100%に切り替える。

気候変動は、食品企業にとって原料調達に影響を及ぼす事業継続の課題だ。まず30年までに自社の温暖化ガス排出量を19年比で半減。バリューチェーン全体でも30%減らし、50年の実質ゼロをめざす。

21年5月にCO2排出ゼロの「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」(長野県大町市)を稼働させた。22年中に日米欧すべての自社拠点の電力をすべて再生可能エネルギーに切り替える。

50年の排出実質ゼロ達成に向けた最大の課題の一つがパートナーとの協働だ。農家や中小企業も多く、人的・技術的支援により誰一人取り残さないSDGs(持続可能な開発目標)の精神で取り組む。

アールプラスジャパン(東京・港)で使用済みプラスチックの再資源化に取り組む。出資企業は業界の枠を超えた32社(意向を含む)に上る。生活者にとって「良品」の定義が変わり、地球環境への貢献は必須になった。サステナビリティーを新たな価値創造の機会ととらえ、成長戦略を描きたい。

災害損失最小化へAI活用 三井住友海上火災保険社長 船曳真一郎氏

船曳氏

船曳氏

損害保険業界が国内の風水災で支払った保険金総額上位10件のうち7件が2010年以降だ。18年の台風21号は1兆678億円と過去最大、次いで19年の台風19号が5826億円だった。19年度までの10年間の支払額は09年度までの10年間の約3倍に急増した。

4月に気候変動対策チームを設置した。商品サービス、資産運用、自社の脱炭素化など6つのタスクフォースをつくり、100人超で脱炭素の対策を検討している。

スマートフォンアプリ「災害時ナビ」は、最寄りの避難所への安全なルートを地図上で示し、家族の安否確認もできる。災害後速やかに保険金を支払い、早期復旧に役立つドローン(小型無人機)を開発している。撮影画像から人工知能(AI)が浸水状況などを解析し、一軒一軒の現地調査が不要になる。

企業向けには気候変動リスクの評価サービスを提供している。米スタートアップと連携し、洪水や暴風雨などの被害額をAIで予測する。90平方㍍四方という高い精度で2100年までの5年刻みで予測できる。自然災害による社会的損失を最小化する狙いだ。

当社のCO2排出量の7割をオフィスやデータセンターで使う電力が占め、2割は社有車のガソリンだ。再生可能エネルギー導入のほか、2025年度までに全車両を電動車に切り替え、40年度の実質ゼロをめざしている。

セラミック技術で貢献 日本ガイシ社長 小林茂氏

小林氏

小林氏

4月にグループビジョンを策定し、ありたい姿として「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」を掲げた。①ESG(環境・社会・企業統治)経営②収益力向上③研究開発④商品の社会実装の強化⑤DX(デジタルトランスフォーメーション)推進――を成し遂げる。

今後10年間に3000億円の研究開発費を投じ、2030年には新事業による売上高1000億円以上をめざす。カーボンニュートラルとデジタル社会の2つの領域で、30年に売上高の50%、50年には80%を稼ぎ出したい。

併せて策定した環境ビジョンではCO2排出量を30年度に半減(13年度比)、50年度にはネットゼロにする目標だ。当社の事業は窯業。現時点では焼成工程でCO2を排出する。排出量取引が始まり、仮に炭素価格が1㌧当たり1万円ならば87億円の利益を失う。重要な課題だととらえている。

NAS電池(ナトリウム硫黄電池)やZNB(亜鉛2次電池)といった当社の大容量蓄電池と再生可能エネルギーを組み合わせてカーボンニュートラルを達成する。CCUS(CO2の回収・利用・貯留)に使うセラミック膜でも世界に貢献できる。脱炭素は産業界全体が連携して取り組むべき課題。当社独自のセラミック技術を世界の産業界に提案し、ともに脱炭素の実現に貢献したい。

今できることから迅速に JERA取締役副社長執行役員 奥田久栄氏

奥田氏

奥田氏

2050年にCO2排出の実質ゼロをめざす「JERAゼロエミッション2050」に3つのアプローチで挑む。

1つ目はゼロエミッション火力と再生可能エネルギーの相互補完だ。アンモニアや水素などCO2を排出しない発電燃料に切り替えていく。再生エネは自然条件に左右され変動するが、火力で補完できる利点がある。既存の発電設備も使え迅速かつ経済的に脱炭素を実現できる。

2つ目は国・地域ごとの最適なロードマップ(工程表)策定だ。経済成長や送電網、再生エネなどエネルギー事情に応じて対応する。3つ目はスマートトランジション(賢明な移行)だ。今できることからやっていく。

まず非効率な石炭火力発電所の設備を30年までに全基停廃止。次にボイラー型の石炭火力にアンモニアを入れて燃やす。24年度には碧南火力発電所(愛知県碧南市)で燃料の20%をアンモニアにする発電の実証を予定している。発電所の設備更新に伴いアンモニア100%の専焼をめざす。

ガスタービン型のLNG(液化天然ガス)火力には水素を活用する。水素の運搬技術の確立が必要となるが、30年代の本格運用を見込む。

再生エネは英国や台湾の洋上風力に参画し、開発や建設、運転についてノウハウを蓄積している。今後本格化する国内洋上風力に生かしたい。蓄電池による再生エネの導入支援も進めている。

海外で森林15万ヘクタール取得へ 王子ホールディングス取締役常務グループ経営委員 石田浩一氏

石田氏

石田氏

当社グループはバリューチェーンを通じた資源循環を推進する持続可能なビジネスモデルをグローバル展開し、森、水、紙の3つのリサイクルに取り組んでいる。

国内外に約58万㌶の社有林を持つ。木材生産を目的とする生産林が約45万㌶、生物多様性の維持などが目的の環境保全林が約13万㌶だ。王子の森は2020年度のCO2純吸収量が約93万5000㌧、累積固定量は1億2900万㌧に上る。

50年度の温暖化ガス排出実質ゼロをめざす「環境ビジョン2050」と、その道筋として30年度に70%削減(18年度比)する目標を掲げた「環境行動目標2030」を20年9月に制定した。

30年度の70%削減のうち、20%分は燃料転換による再生可能エネルギーの利用率向上、製造・物流部門の効率化、徹底した省エネで賄う。50年の石炭使用量ゼロに向け、国内にある石炭を使うボイラー16基のうち12基で燃料を転換できないか検討を始めた。将来は水素やアンモニアの混焼を見据え、石炭火力発電設備も改造していく計画だ。

残る50%分は森林によるCO2吸収量純増だ。約1000億円を投じて新たに海外で生産林15万㌶を取得しようと、ブラジルやニュージーランドなどで検討している。

「木を使うものは木を植える義務がある」との理念の下、持続可能な森林経営を実践してきた。国内外の社有林には絶滅危惧種の淡水魚や野鳥が生息する。地域とともに生物多様性を保全する取り組みを継続している。

具体的な行動で貢献 関西電力取締役代表執行役副社長 森望氏

森氏

森氏

電力会社は日本のCO2排出量のおよそ3分の1を占める。2月に策定した「ゼロカーボンビジョン2050」で、当社は安全・安定供給を果たしつつ50年までにCO2排出量についてカーボンゼロにすると宣言した。

デマンドサイド(需要側)のエネルギー利用は使用時にCO2を出さない電気と、水素に大きくシフトする。脱炭素化には「減らす」「置き換える」「創る」の視点が必要になる。社会の自発的な行動変容を促すためには、排出量の見える化が一丁目一番地だろう。

ゼロボード(東京・港)と協業し、排出量を可視化するクラウドサービスを提供する。省エネ支援サービスはアイ・グリッド・ソリューションズ(東京・千代田)と共同開発した。無理のない省エネ行動の促進と、快適性を損なわない高効率の空調制御を両立できる。

置き換えの一つが電気自動車(EV)だ。バスの充放電管理システムや電源設備をまとめて提供する。トラックなど商用車では日野自動車と共同出資会社を設立した。

火力発電所で水素発電に挑む。水素を使う熱電併給システムの実証運転に着手し、水素燃料電池船の商用化も検討中だ。具体的な行動で脱炭素社会の実現に貢献する。

「脱炭素移行金融」に強み みずほフィナンシャルグループ執行役サステナブル・ビジネス推進統括 牛窪恭彦氏

牛窪氏

牛窪氏

日米欧中は世界のCO2排出量の約6割を占める。日米欧は2050年のカーボンニュートラル実現で足並みがそろい、中国も60年を目標に掲げた。

日本は30年度に13年度比46%削減の目標だが、みずほ銀行産業調査部の試算では、見えている技術や政策をフル動員しても33%にとどまる。再生可能エネルギーの導入拡大、建物のゼロエミッション化徹底などでようやく達成できる水準だ。

脱炭素化は簡単な話ではない。経済成長との両立はハードルがさらに上がる。将来あるべき姿から現在を振り返る「バックキャスティング」で思考することが重要だ。

脱炭素が経営課題となり、事業戦略と財務戦略を一体的にとらえて検討することがこれまで以上に大切になる。事業戦略においてはコア・ノンコアの区分けに加え、サステナビリティー(持続可能性)貢献度が新たな判断軸に加わる。

脱炭素への移行を促す「トランジションファイナンス」に注目している。パリ協定に整合的な企業の脱炭素への取り組みを支援する新たな動きだ。

21年3月には次世代型環境対応LNG(液化天然ガス)燃料自動車専用船を建造する川崎汽船にトランジションローンを組成した。脱炭素の前提となる長期戦略策定などとあわせ、非金融から金融までワンストップで支援する。これがみずほグループの強みだと考えている。

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